2017 Fiscal Year Research-status Report
戦前日本の外米輸入―米不足の構造と輸入補填(明治初年~戦時の実証的・総合的研究)
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16K03792
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
大豆生田 稔 東洋大学, 文学部, 教授 (20175251)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経済史 / 日本史 / 戦前 / 外米 / 食糧 / 主食 / 貿易 / 生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦前期の日本において、東南アジアからの「外米」輸入が断続的に活発化した現象を対象として、(a)主食(米)需給の構造とその特質、(b)外米取引の展開とその担い手、(c)質的に国内産米と異なる外米の消費の実態、についての実証的考察とを目的とする。本年度の研究実績は次の通り。 1.資料の調査・収集:上記(a)について、前年度より継続して、東京およびその周辺の資料所蔵機関が所蔵する統計資料、及び農業・食糧・貿易政策の関係資料等を調査・収集した。(b)について、国内では、(a)の諸機関において、公文書・外交文書・報告書・同時代刊行資料等を、デジタル化資料も含め、それぞれ前年度から継続して調査・収集した。また海外では、米国議会図書館Library of CongressのAsian Divisionが所蔵する東アジア関係資料、米国国立公文書館National ArchivesのRecord Group 166に収められた、外米産地に駐在する外交官の報告書、外務省との往復書類等を調査・収集した。(c)戦前期の米・小麦等をめぐる国内の主食消費の特質やその変化、地域性等について、新聞記事、報告書、雑誌記事等を調査・収集した。 2.収集資料の整理・分析:海外収集資料については撮影データをリストを作成して整理し、統計数値・基本資料等についても収集資料の整理と入力作業を進めた。特に、外務省外交史料館に、1910年代末の外米輸入について、産地側政府との交渉に関する外交文書が多数存在することが判明した。収集・整理した諸資料について総合的に分析した。 3.研究成果の公表:外米輸入が急増した1910年代末において、外米産地駐在の外交官が展開した対日輸出の実現・促進をはかる交渉等について、主として日本側の外交文書等により実証的に検討し、論文を作成して公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料調査について、本年度予定した米国国立公文書館、米国議会図書館の所蔵資料の調査・収集を実施した。関係資料の点数が予想以上に多かった議会図書館については、2回(8月、3月)調査を実施した。研究成果の公表について、前年度執筆予定の論文を、今年度執筆の論文と一体化させて構成し公刊した。全体として、ほぼ予定どおりに進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、研究計画書に従って本研究を続ける。次年度は最終年度であり、海外・国内ともに資料の補充調査・収集を行う。特に、研究計画の(i)の時期(明治前期)の資料が限られており、所在調査を促進して収集をはかりたい。また、研究目的が達成されるよう、収集した資料の分析を進めて、論文を作成する。
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Causes of Carryover |
資料調査・学会参加のため、年度末(3月中旬・下旬)に旅費(海外、国内各1件)の支出が必要となり、次年度の執行とした。
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Research Products
(1 results)