2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03797
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
湊 照宏 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (00582917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷ヶ城 秀吉 専修大学, 経済学部, 准教授 (30508388)
齊藤 直 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 准教授 (90350412)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国策会社 / 資本市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,植民地台湾経済史研究に欠如していた資本市場の視角から,植民地台湾で活動した大企業の資金調達過程を詳らかにし,その知見から植民地に対する資本供給メカニズムを解明する点にある。こうした本研究は,金融構造の分析が手薄な台湾経済史の研究水準を高めるとともに,対外投資に関する資本市場分析の蓄積が薄い日本経済史研究に対しても貢献をなし得ようとするものである。 研究代表者の湊照宏は、本研究を遂行するうえで不可欠の基幹資料となる台湾の中央研究院台湾史研究所档案館・国史館台湾文献館で『台湾拓殖株式会社档案』や『台湾銀行所蔵日治時期文書』などを閲覧し,資料収集を行った。 研究分担者の谷ヶ城は,『台湾拓殖株式会社档案』や『台湾拓殖株式会社移交台湾土地銀行経営档案』,『台湾銀行所蔵日治時期文書』などを台湾の中央研究院台湾史研究所档案館で閲覧しつつ,国内では大阪市立大学学術情報総合センターや,北海道大学附属図書館を訪問して研究の遂行に要する基礎資料の収集に当たった。 研究分担者の齊藤は,台湾拓殖株式会社の一次資料である『台湾拓殖株式会社档案』を 台湾の中央研究院台湾史研究所档案館で,製糖会社各社の内部資料を一般財団法人糖業協会でそれぞれ閲覧しつつ,大阪市立大学学術情報総合センター,北海道大学附属図書館等での資料収集を行った。 3名は,上記のように国内・国外で収集した資料に検討を加え,定期的に研究会を大阪産業大学梅田サテライトキャンパスなどで実施した。3名は研究会での議論をふまえたうえで,学術論文の刊行や学会報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の湊照宏は,台湾の中央研究院台湾史研究所档案館で『台湾拓殖株式会社档案』や『台湾銀行所蔵日治時期文書』などを用いて,学会報告「The Dilemma of the national Policy Company : Wartime Financial Statements of the Taiwan Development Corporation」を行った。。 研究分担者の谷ヶ城は,『台湾拓殖株式会社档案』や『台湾拓殖株式会社移交台湾土地銀行経営档案』,『台湾銀行所蔵日治時期文書』などを用いて論文「政府部門と国策会社の設立:台湾拓殖を事例に」(『社会科学年報』51号)を執筆した。 研究分担者の齊藤は,『台湾拓殖株式会社档案』に含まれる,台湾拓殖の資金調達に関する資料群を利用して,同社の社債発行をめぐる日本興業銀行,大蔵省,台湾総督府,拓務省等との交渉の過程を検証するとともに,学会報告「戦時期における台湾拓殖の社債発行交渉」を行った。また,「戦間期における『変態増資』と株主:明治製糖による新明治製糖の設立・合併の事例を中心に」(『経営史学』第51巻第3号)も執筆した。 以上から,3名による資料収集状況,収集資料に基づく学会報告・論文執筆は順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,戦間期台湾における大企業の資金調達・運用過程を検討する計画で,台湾拓殖会社といった国策会社だけではなく,製糖会社や電力会社も主要な検討対象に含める計画であった。 しかし,検討し得る台湾拓殖会社の一次資料の量および質が,研究計画時よりも予想を大きく上回っているので,台湾拓殖会社と資本市場との関係の分析に重点を置いていく。その一方で,資料上の制約から全ての製糖企業の資金調達・運用過程を詳細に解明することが困難となってきているので,製糖会社と資本市場との関係については、全体的な概観把握に努めることにする。
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Research Products
(4 results)