2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03802
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Research Institution | Mitsui Bunko |
Principal Investigator |
賀川 隆行 公益財団法人三井文庫, 社会経済史研究室, 特任研究員 (90087908)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 越後縮 / 大名為替 / 買宿経営 / 大丸屋 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度中に本研究課題の中心的史料である新潟県十日町市の蕪木家文書の調査と撮影を二度行った。また研究代表者が以前に史料収蔵機関である十日町市情報館より受取った史料のマイクロフイルムのデュウプよりデジタルデータへのスキャンを行った。研究代表者が以前に撮影したデータもあり、それらを研究代表者と連携研究者とのグループで共有することをはかり、今後の研究進展の基礎的条件の整備を行った。この課題は加賀屋蕪木家が江戸呉服問屋の大丸屋の越後買宿であり、越後縮の集荷を担当する商人であるが、多少の独自性をもって商業活動を行い、それに付随して、江戸と十日町との為替取引をおこなったために、越後の多くの大名との為替関係を結成することになる。十日町は越後縮という江戸や京都など幅広く流通する商品をもったために、長岡藩から新発田藩、村上藩、高田藩などの越後の大名の江戸為替を扱うようになる。十日町と蕪木家は越後地方の為替センター、金融センターになったのである。さらに蕪木家は越後縮だけでなく、薬品や米を扱ったために、長崎貿易との接点を持つことになった。このように5万点といわれる厖大な蕪木家文書の分析によって、越後魚沼の地域経済と全国経済との接点についてを明らかにすることができる。そのための基礎条件を整備することができたのである。研究代表者と連携研究者がそれぞれそれらのデータの解読にあたるとともに、研究史のサーベイにあたっている状況にあります。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心的史料である新潟県十日町市の蕪木家文書の調査と撮影を二度行った。さらに研究代表者が以前に史料収蔵機関である十日町市情報館より受取ったマイクロフイルムの一部のデジタルデータへのスキャンを行った。研究代表者がまた以前に撮影したことのあるデータを連携研究者に供与して、研究グループの間での共有化をはかった。研究グループの間での研究分担をはかるために、データを読むことができるという基礎的な条件の整備を行った。研究データの収集とメンバー間の共有化については順調に進展しています。また三重県松坂市や東京都の三井文庫に於いて関連史料の調査収集も行った。蕪木家が大丸屋の買宿であったため大丸屋の史料の収集の可能性の可否について検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
蕪木家の文書の調査と撮影は今後も継続して行うことになるが、収集したデータを解読することが重要であり、それを深めていきたい。さらに十日町市には越後縮を取り扱う六軒問屋があり、蕪木家以外は文書が残されていないと言われていたが、星名家文書のなかに他の問屋の文書が若干残されており、また越後縮出稼ぎ人の文書も存在するために、それらの越後縮の流通関連の史料を、可能なだけ収集をはかりたい。この研究プロジェクトの到達点は越後縮の流通と蕪木家の経営を著書としてまとめることであるため、その完成に向けて努力したい。なお越後縮の産地は十日町市のほかに小千谷市と堀之内町があり、新潟県立文書館にある西脇家文書や、柏崎市や越後塩沢の史料も目配りして総合化を図っていきたい。
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Causes of Carryover |
当該年度においてパソコンを購入する予定でしたが、パソコン業者との間での購入の打ち合わせ等の準備が遅れてしまい、期限内に購入することができませんでした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は助成金を史料の収集のための旅費を中心として用いる予定ですが、次年度使用額の14万円余は調査研究に用いるパソコンを購入する予定です。
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