2017 Fiscal Year Research-status Report
ものづくり経営における販売現場の役割に関する実証研究
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16K03805
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
Heller Daniel 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (00362096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本橋 永至 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50707239)
佐藤 秀典 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (70588293)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 経営組織 / 自動車産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
ディーラーによる自動車販売の歴史および地域社会への影響について調べ、報告を行った。地域社会第2次世界大戦前のGMは、世界中の自動車メーカーが採用している販売方法「ディーラーのフランチャイズ制度」に大きく貢献した。しかし、戦後のGMの最も栄えた60年代を経て、A.P.スローンが築いた経営コアフィロソフィー(すなわちディーラーを含む多様なステークホルダーをも重要視すること)を継承しないで、株主への金銭的なリターンに偏る経営に落ちた結末としてGMは2009年に倒産した。日本の自動車メーカーやディーラーへの教訓として自動車開発・製造・販売、いわゆる本業において従業員と顧客の満足を目当てにし、改善活動を続けて行なう必要があることを学会報告した。また、地域に貢献しながらディーラの従業員満足と顧客満足の両立は日本においてどのように追求できるか事例研究の成果を報告した。 6月にISA所属のSouth Carolina大学のGerald McDermott教授との会議を東京に行った。アメリカの自動車産業や自動車ディラーの状況を教えてもらった。ヘラー研究室所属の博士課程後期の木田世界さんが11月に首都大学大学東京で行われた組織学会の年次大会に、12月に現代経営学勉強会に参加した。自動車販売店舗を20箇所以上訪れた。自動車ディラーシステムの生成や発展時期を調査した。 自動車問題研究会では自動車販売について自動車業界の様々な関係者と多方面からの意見交流を行った。自動車販売に影響を与えるプロダクトインテグリティ(製品の一貫性)は、自動車およびその部品の開発・製造と深く影響しているため自動車メーカーと部品サプライヤーの工場見学も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本の自動車ディーラーの「販売力」を計るためにモデルの変数の確定および操作化のために行なった、従業員満足と顧客満足の両立に関する事例研究、自動車ディーラーの歴史的発展および改善活動の基本フィロソフィーに関する研究のそれぞれの成果を学会等で報告した。学会等で受けたコメントから得た知見に基づき、この科研費プロジェクトの進行のペースを遅めて、修正をかける必要であると判断した。 元々の計画では3年目から自動車ディーラーにアンケート調査を行うことになっていた。そのため準備を2年目に行なう予定であった。しかし、ディーラーの店舗を取り巻く地域環境および産業・市場の変容をカバーする説明変数やコントロール変数に関する精査は現時点で不十分であるということがわかった。本件が対象にしている日本の自動車市場は衰退しているという側面が指摘され、このような厳しい状況において、バーナードが提示した企業存続の条件(有効性と能率)をどのようにすればサービス企業は満足できるかという問いは、今までの研究蓄積にあまり取り上げてこなかった。したがって、アンケート調査を進めるに当たってのモデル化をするのにまだ早いということになる。 本研究は企業の普遍的な経営学課題である「存続」に新しい示唆に繋げ得るため、アンケート調査を急がないで因果関係やその条件を更に追求して、引き続き事例研究を行う必要があるため、2年目に事例研究を続けることにした。そのために協力してくれるディーラーを確保することにも努めた。そして結果として協力してくれるディーラーを見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では「販売力」を計り、ホワイトカラーの生産性の向上について引き続き研究をするが、同時に少子高齢化で悩む日本や台湾をはじめとする多くの国や地域が直面する重要な課題においても有用な対策を導き出せる研究にできることが2年目の研究活動を通じてわかった。特に、従業員の協働の仕方、マネジャーのサーバントリーダーシップの在り方についての本研究の成果が評価されたものの、これらのメカニズムや相互作用について深掘りをする必要があることもわかった。現在は1事例に基づく、本研究の成果の普遍性について疑問の声が学会等で聞かれたため、それに答える必要がある。したがって、3年度に予定していたアンケート調査の実施を先延ばし、事例研究を続けることに決めた。本研究の1~2年目の成果の伸び余地を踏まえて、アンケート調査に展開する前に、まずは3年目において事例の数を増やしながら事例研究を継続して行なう。
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Causes of Carryover |
端数を次年度に繰り越し、消耗品に充てる。
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Research Products
(8 results)