2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03815
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松田 千恵子 首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (80613140)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 持株会社 / コーポレートガバナンス / 非上場化 / グループ経営 / 全社戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我が国で増加する純粋持株会社に焦点をあて、(1)なぜ純粋持株会社形態の選択が行われるのか、(2)その選択は企業価値にどのような影響を与えるのか、(3)株主など利害関係者や資本市場にどのような影響を与えるのか、を明らかにすることを目的とする。純粋持株会社とは、その会社自体は事業活動を行わず、株式所有を通じて他の会社の事業活動を支配することを目的とした企業の形態を指し、1997年の解禁以降こうした形態をとる企業は増加している。 一方、この場合、「持株会社が傘下の事業会社に健全なガバナンスを発揮できるのか」というグループ経営上の問題が生じる。本来ガバナンス機能を発揮すべき資本市場からは事業の実態が掴みにくくなり、株主の権利や情報開示の透明性が阻害される恐れもある。昨今のコーポレートガバナンス強化の流れも受けて、実態解明はもとより、純粋持株会社化の決定要因、および企業価値や資本市場に対する影響について、経営者や株主をはじめとする利害関係者の関心は高い。 従って、初年度にあたる本年度はまず、これら利害関係者との情報共有を積極的に行い、実務上の課題や現状を明らかにすることに注力した。また、国内外における先行研究サーベイを行い、特に我が国で純粋持株会社が増加する要因に関し整理し、海外の研究成果については、制度上の違いに留意しつつグローバルな比較を可能にできるよう取りまとめを図った。その過程で持株会社化を含む親子間の関係については学会発表を行った。さらに、我が国の純粋持株会社事例を最新の案件まで含めて可能な限り多く収集し、データベース構築の基礎を作った。これらは当初計画に掲げた通りであり、研究は順調に進捗していると思料される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度にあたる本年度はまず、利害関係者との情報共有を積極的に行い、実務上の課題や現状を明らかにすることに注力した。また、国内外における先行研究サーベイを行い、特に我が国で純粋持株会社が増加する要因に関し整理し、海外の研究成果については、制度上の違いに留意しつつ、グローバルな比較を可能にできるよう取りまとめを図った。その過程で持株会社化を含む親子間の関係については学会発表を行った。さらに、我が国の純粋持株会社事例を最新の案件まで含めて可能な限り多く収集し、財務実績や株式保有構造、公表された理由等を含めた純粋持株会社化案件データベースの作成に繋げることができた。データベースの作成にあたってやや不足する情報がまだ存在するものの、これらは当初計画に掲げた通りであり、研究は順調に進捗していると思料される。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度からは、データベースを完成させるとともに、定量研究の範囲を広げ、純粋持株会社化による企業価値向上の有無をイベントスタディなどの手法により検証する。また、純粋持株会社化前と後の業績の変化についてパフォーマンススタディなどを用いて明らかにする。統計解析等、定量的な分析を深め、さらに実際に純粋持株会社を選択した企業へのインタビューなど定性的な分析にもつなげていきたい。
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Causes of Carryover |
データベースを作成するにあたって不足する情報が若干あり、また統計解析等のソフトについては十分データを集めたうえで購入したほうがよいことが判明し、今年度はまずプロトタイプを作成したうえで、来年度においてデータベース設計を再検討して必要な情報やソフトの購入等を行うことが最も効率的であると判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度において、データベースに必要な情報購入、統計解析に必要なソフト等において使用する予定である。また、それ以外の定性情報の取得などにも費用が掛かることが予想されるため、研究の進捗とともに予定使用額に達するものと見込まれる。
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Research Products
(1 results)