2018 Fiscal Year Annual Research Report
A STUDY OF THE EFFECTS OF TRANSITIONING
Project/Area Number |
16K03815
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
松田 千恵子 首都大学東京, 経営学研究科, 教授 (80613140)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非上場化 / 持株会社 / 資本市場 / 全社戦略 / グループ経営 |
Outline of Annual Research Achievements |
純粋持株会社とは、会社自体は事業活動を行わず、株式所有を通じて他の会社の事業活動の支配を目的とした企業の形態を指し、1990年代後半以降増加がみられる。 一方で、純粋持株会社形態を選択し、傘下の事業会社の株式を保有してグループ内での階層的な企業統治を行うことは、上場企業のコーポレートガバナンスを担う資本市場の役割と競合する可能性がある。昨今のコーポレートガバナンス強化の流れなども受けて、実態解明及び純粋持株会社形態選択の決定要因やその資本市場に対する影響などについて、経営者や株主をはじめとする利害関係者の関心は高い。 本研究はこの関心に応えようとしたものであり、分析の結果、以下の内容が明らかになった。まず、単独事業持株会社における純粋持株会社化に対して、株主はポジティブに反応していない。企業側の公表では、権限委譲や意思決定の迅速化、本社の機能強化などを通じた企業価値向上が謳われているが、株主としてはそれらを肯定的に受け止めていない可能性が明らかになった。次に、実際に一定の期間を経た後にこれらの純粋持株会社化が企業価値向上に寄与しているという事実は見いだせなかった。上場廃止を行ってまで純粋持株会社化を実行したにもかかわらず、意思決定の迅速化や機能強化、人材活用策の奏功などを通じて企業価値向上につながる可能性に疑問を投げかける結果である。一方、これ以外に単一事業持株企業が純粋持株会社化する可能性としては、敵対的買収から身を守るといった消極的な理由、あるいはオーナー企業における組織的な経営への移行を企図しているといった理由が残されているが、後者については、第一位株主への持株集中度が高く、個人株主の持株比率が高い企業が純粋持株会社化を選択する傾向にあることが判明し、この可能性が示唆された。本件については、今後「非上場化」のカテゴリーで出版を計画している重要な一部になると考えられる。
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Research Products
(7 results)