2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Study of the relationship between managers turnover/board of director and firm performance
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16K03831
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
清水 一 大阪経済大学, 情報社会学部, 准教授 (50368841)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / 企業業績 / 経営者交代 / 取締役会 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,経営者交代研究における経営柄者の分類方法に関する研究,および,経営者の交代後の地位・新任経営者の出身が企業業績とどのように関係しているかについて,研究を行い,Working Paperとしてまとめた。まず,経営者交代の研究では,退任する経営者が業績不振などで強制的に解任されたのか,あるいは,自発的に退任したのかを区別することが多い。先行研究では,退任する経営者が代表権を保持する,あるいは会長に就任する場合は通常退任(強制的な解任ではない)と分類し,それ以外の場合は非通常退任と分類されつことが多かった。しかし,データから代表権の保持・非保持(あるいは会長就任・非就任) による分類は,妥当性が低いことが示された。 また,後任の経営者に関しては内部出身と外部招聘に分けて分析されることが多い。この分け方として,当該企業への入社と経営者への就任の期間が短ければ外部招聘と分類する研究が散見されるが,日本では上場子会社や同族企業が多いことを考慮すると,そのような分類の仕方には問題があることが示唆された。 経営者交代と企業業績の関係を調べるために,本研究では退任した経営者の交代後の地位,および,新任経営者の出身が業績にどのように影響しているかを分析した。経営者が交代した前年の業績が赤字だった場合に,退任した経営者の代表権の有無と取締役の地位の有無で場合分けしてそれぞれのその後の企業業績を観察したが,大きな違いはなかった。また,後任の経営者の出身の違いがその後の業績に影響を与えるかについて,後任経営者を内部昇進,親会社出身,外部出身に分けて交代後の業績を分析したところ,大きな違いはなかった。 研究全体を通じて,本研究が対象とする東証1部上場企業では,経営者が業績に与える影響はかなり限定されることが示唆された。この結果は,経営者の資質を過度に問う必要がないことを示唆すると思われる。
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