2018 Fiscal Year Annual Research Report
A study of communities of practice in organization: a case study of nursing homes
Project/Area Number |
16K03836
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
松本 雄一 関西学院大学, 商学部, 教授 (10336951)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 実践共同体 / 介護施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実践共同体(communities of practice)が組織内外で学習をどのように促進するかについて、介護施設の事例を中心に明らかにしてきた。実践共同体は組織内外に構築する「学びのためのコミュニティ」ということができる。 読み書き計算によって認知機能の維持・向上を図る「学習療法」を導入している介護施設の調査の結果、業務に忙殺される中で学習療法の導入に成功している施設は、組織内外に実践共同体を構築し、学習療法の理解促進を行っていることが明らかになった。その具体的な内容としては、学習療法の理解を進めながら、実践共同体において実践を相互に検証していた。それが施設内の相互作用、および業務における協働を促進していた。そして実践共同体の学習の結果、介護施設は学習療法が利用者とのコミュニケーション促進に資することを自ら発見していた。他方で介護施設は学習療法を施設間見学、地域内勉強会、地域間合同の研究会、そして全国レベルでの「学習療法シンポジウム」といった、重層的実践共同体を構築していた。それらは互いの相互作用を促進し、さらなる実践共同体の構築を促すという好循環を生み出していた。 この事例研究から多くの示唆が得られた。まず実践共同体概念について、施設内実践共同体のように、小規模で同質的メンバーによる相互作用を通じた熟達促進という「熟達型」と、大規模で多様なメンバーと交流し人的ネットワークを促進するという「交流型」の2種類があり、それらは補完的関係にあることが明らかになった。同時にそれらを重層的に構築する構造を目指すことで、その相互作用と学習はさらに促進されることがわかった。これらの結果は著書にまとめることができた。今後は介護施設と地域社会の相互作用についての活動を研究していきたい。
|