2021 Fiscal Year Annual Research Report
The Determinants of IPO Underpricing in the Chinese Stock Market: A Comprehensive Study
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16K03839
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
船岡 健太 九州産業大学, 商学部, 教授 (30615357)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 新規株式公開 / 中国の株式市場 / 過小値付け / 機関投資家 / ファミリー企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
船岡・姚 (2022)では、ファミリー企業の新規株式公開(IPO)における過小値付け(アンダープライシング)の決定要因について考察している文献のサーベイを行った。船岡・姚 (2022)でサーベイを行った中国のIPOを対象とする研究の概要を以下に記す。 2007年から2014年の期間に深セン証券取引所の中小企業ボードにおいて新規株式公開を行った506社を観測対象とするHuan et al.(2019)では、中国のファミリー企業のIPOにおける過小値付けの水準は、非ファミリー企業に比して低いということを報告している。ファミリー一族が経営を行っていることが多いファミリー企業については、エージェンシー問題が小さいと考えられ、このことがファミリー企業のアンダープライシングを低減させている可能性について言及している。 2004年から2014年の間に深セン証券取引所の中小企業ボードに新規公開を行った577社の製造業を対象に分析を行ったYang et al.(2020)は、中国政府は依然としてIPOにおける重要なプロセスをコントロールしていることから、中央政府や地方政府との政治的つながりを持つファミリー企業は、アンダーライターとの公開価格の交渉においてアドバンテージを有しており、過小値付けの水準が低減するというエビデンスを報告している。 上記のように中国におけるファミリー企業のIPOアンダープライシングは小さいことが報告されているが、ドイツを対象とする研究では逆の結果が検出されており、このようなファミリー企業のIPOにおける過小値付けの水準に関する国際的差異の発生要因については、今後の研究課題であることも船岡・姚 (2022)で指摘を行った。
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