2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03845
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 友厚 東北大学, 経済学研究科, 教授 (10380205)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 製品開発戦略 / モジュラー戦略 / 製品アーキテクチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は初年度目であることから、共同研究者であるコペンハーゲン大学ビジネススクールのサンチェス教授の来日に合わせて、分析フレームワークを議論し、共同研究の進め方などを議論した。また、現在共同で論文を執筆中である。 本年度の具体的活動内容は、まず5月下旬に経済産業研究所で開催されたセミナーで、サンチェス教授が「新産業創造とモジュール化」に関するセミナーを行ったが、そのコメンテータを務めた。さらに、ルノー日産自動車のCMF(Common module family)と呼ばれる製品開発戦略の調査研究を継続した。その中で、次第に市場の適用範囲を拡張してゆくにつれて、CMFが進化してゆく軌跡を確認した。CMFを進化させて、モジュラー戦略を維持するためには、後戻りしないような仕掛けが必要であることが明らかになった。3月には、フランスのルノーを訪問し、日産自動車とのCMF共同開発のためにルノーは開発体制を変革していることを確認した。また、CMFのケースをベースにした論文を、11月にアブダビで開催されたICOM2017で発表した。上記のようにルノー日産CMFのケースを継続的に深堀りすると同時に、研究対象を他産業や部品メーカーにまで広げるために、キャノン、YKKなどにヒアリングを行った。今後、これらの企業を対象にした研究を深めてゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CMFを定点観測したことによって、モジュラー戦略の始まりから組織の中に定着してゆくプロセスが明らかになり、脆弱性を克服するための組織的仕組みの必要性などが明らかになった。ほぼ順調だと言って良い。
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Strategy for Future Research Activity |
ルノー日産のCMF開発を一定期間にわたって定点観測することは、モジュラー戦略の進化過程と組織内の定着過程、およびモジュラー戦略の脆弱性を超えるための方策などを明らかにすることになり、大きな意味がある。CMFの定点観測は今後も継続する必要があるが、加えて、他のメーカーや部品メーカーにまで調査対象を広げてゆく。
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Causes of Carryover |
当初の予定に比べて、国内企業の調査に行くことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ルノー日産のCMF戦略の継続的調査に加えて、村田製作所やYKKなどの部品メーカー、およびセイコーエプソンなどへ調査を拡大する。加えて、調査の見通しが立ったものから、国際学会での発表、および英語での論文投稿など、世界への発信に精力的に取り組む。
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