2018 Fiscal Year Research-status Report
プラットフォーム企業の技術ポートフォリオと市場成果分析
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16K03850
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
立本 博文 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80361674)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 競争戦略 / 技術経営 / 国際経営 / プラットフォーム企業 / プラットフォーム戦略 / オープン標準 |
Outline of Annual Research Achievements |
(i)から(iii)の3つの研究活動を行った。 (i)は昨年度から引き続きの活動となる。まず特許データセットのアップデートを行った。特許データは随時出願されるものであり、定期的なアップデートが必要である。アップデートに合わせてデータセットの整合性を図るために時間を費やした。これらは米国特許のデータセットに対して行った。特許データを対象に統計的な手法を用いて学術論文を出版した(中西・立本,2018)。また特許データだけでなく意匠権も同じ枠組みで扱うことができるため、デザインマネジメントについて実証研究を行い、学術論文として出版した(原・平坂・立本, 2019)。 (ii)については、データを用いたプラットフォーム戦略が近年台頭してきており、この理論的な整理が必要となっている。また、日本企業がどれぐらいデータ資源を保有しているのか、といった知見も必要となってきている。また、IoT/ビックデータ/AIといった要素も、データをつかったビジネスモデルには深く関係している。これらの知見について、理論的な整理と事例研究を行い、学術論文として出版した(立本, 2019; 平井・二又・立本・渡部, 2019)。 (iii)については研究シンポジウム等で書籍内容を平易に解説した。プラットフォーム戦略研究の分野は内容の専門性が高く、周辺分野の学術研究者にとっても敷居が高い。しかしなかがら分野横断的に本分野を研究する学術的意義・実務的意義は高く、プラットフォーム戦略研究を平易に紹介する意義は大きい。その点を考慮し、書籍内容を出発点として後続研究が活性化するように努めた。これらの活動によって、2017年に出版した書籍(立本, 2017)は、学会賞・財団賞を3件を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 進捗がおおむね順調に進展していると判断したのは以下1)から3)の理由のためである。 1) これらのデータセット整備が本研究の基盤となっているため、特許データセットの整備に多くの時間を費やしている。初年度(2017年度)は特許データセットを照会できるの計算機環境の構築だけでも困難であったが、現在は、定期的なアップデートまで対応している。特許は随時申請できるものであるため、特許データは定期的にアップデートが必要となる。このデータセットには特許の他に意匠も含まれる。特許・意匠ータを基盤に、統計的分析を用いて学術論文の出版ができた。 2) プラットフォーム戦略について新しい動きが台頭しており、こういった動きについて理論構築などのキャッチアップが必要であった。たとえば、IoT/BigData/AIやデータ資源のマネジメントなどは、こういった新しい動きでは顕著である。このため、本研究では、既存研究と整合的な理論枠組みを考察し、学術論文として発表することができた。 3) 2017年度の成果として学術書籍を出版したが(立本, 2017)、専門性が高いため、そのままでは関連分野の学術研究者や実務家から無視されてしまう危険性があった。平易な解説を行う発表をシンポジウムなどで行うことで関心喚起に成功した。出版した内容とこれらの活動によって、書籍は学会賞・財団賞3件を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方向としては、いくつかの産業分野・技術テーマを対象にし、いくつかの統計手法を比較しながら、特許データを基にした技術資源地図の作成を行う。
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Causes of Carryover |
統計データセット整備を行い、より大規模な統計分析の可能性が見えてきた。研究計画に上げた目標を遂行しながら、この可能性の検討をおこなうために、次年度使用額を使用する。
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