2018 Fiscal Year Research-status Report
プロセス産業と組立産業の製品開発システムの比較研究
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16K03851
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑嶋 健一 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (50313086)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 製品開発 / プロセス産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、組立産業との比較の観点から、プロセス産業の製品開発システムを説明する包括的なフレームワークを構築することにある。プロセス産業は、組立産業と並んで製造部門の2本柱の1つであり、日本でも、製造業の出荷額に占めるプロセス製品の比率は高い。こうした重要性の一方で、学術研究では、組立産業と比較すると、プロセス産業の製品開発をテーマとした研究は世界的に見ても蓄積は少なかった。学術雑誌で特集号が組まれるなど、その注目度が高まり、研究蓄積が進んだのは2000年代に入ってからである。ただし、そうした先行研究の多くは、個別の製品・産業を対象としたものがほとんどであり、組立産業とプロセス産業の製品開発システムの共通点や相違点、それを包括的に説明するフレームワークは十分に確立されているとは言いがたい。本研究は、こうした既存研究の課題を克服することを目的としている。 本年度は、前年度に引き続き、理論調査とフィールド調査の両面で、さらなる掘り下げを進めた。理論面では、近年、製品開発やイノベーション研究で注目されているopen innovationに特に注目し、先行研究のレビューを行うと同時に、日本のプロセス産業におけるopen innovationの実態を調査した。その成果の一部は、コンファレンスで発表し、論文としてもまとめた。さらに、open innovationから派生したテーマである産学連携についても考察を進め、論文としてまとめて学術雑誌に掲載した。フィールド調査面では、前年度と同様に、プロセス企業へのインタビュー調査を実施した。これまでの調査対象は基本的に大企業であったが、本年度は企業規模の違いが製品開発システムに影響を与えている可能性を考慮し、中規模企業も調査対象に含めた。フィールド調査から得られた知見の一部についても、論文としてまとめて学術雑誌に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体として、ほぼ計画通りに進んでいる。理論調査面では、open innovationに注目したレビューを行い、産学連携をテーマとした分析を含めて、論文としてまとめることができた。フィールド調査面でも、従来の大企業に加えて、中規模企業にも幅を広げて調査を実施し、包括フレームワーク構築に向けての準備が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、理論調査とフィールド調査の両面で、さらなる掘り下げを進める。理論調査面では、関連理論の探索、先行研究のレビューをさらに進める。フィールド調査面では、より多様なバックグラウンドを持つ企業を対象として調査を行い、包括フレームワークの土台作りを進める。両作業から得られた知見については、随時、論文としてまとめて発表していく。
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Causes of Carryover |
研究成果の海外学術雑誌発表を視野にいれて、支出を抑えた。 繰り越した助成金については、主に海外学術雑誌への投稿に使う予定である。
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Research Products
(5 results)