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2016 Fiscal Year Research-status Report

統合的価値づくりにおけるデザインエンジニアリングの役割

Research Project

Project/Area Number 16K03854
Research InstitutionHitotsubashi University

Principal Investigator

延岡 健太郎  一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (90263409)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywords統合的価値 / SEDAモデル / 顧客価値の暗黙化
Outline of Annual Research Achievements

平成28年度の研究実施計画どおり、理論的モデル構築と聞き取り調査を実施した。聞き取り調査では、主にマツダ株式会社、日本電気株式会社、横河電機株式会社、日本アビオニクス株式会社において、合計100時間を超える、調査を実施した。その内容も最大限に活用し、理論的モデルとして、「SEDAモデル」を開発した。これは、Science、Engineering、Design、Artの4つの頭文字からなる、価値づくりモデルである。本研究のテーマである、「統合的な価値づくり」では、これまでに言われてきたエンジニアリングとデザインの統合に加えて、ScienceとArtが重要な役割を果たす点が明らかになった。本成果は、学術論文として、既に2本の論文としてジャーナルに掲載した。加えて、日本経済新聞の連載記事として10回にわたり掲載され、学術的な貢献のみでなく、企業経営や政策立案を担当する人々にも、広く普及させることができた。
また、「顧客価値の暗黙化」の理論的なフレームワークを創出し、SEDAモデルの重要性をサポートする形で提示した。その概念では、客観的に評価・測定できる商品の機能や仕様だけでは商品の価値が決まらない点が重要である。顧客価値は、顧客が使用するコンテクストと主観的な評価、感性・情緒などに依拠する。結果的に、数値化や言語化ができない暗黙的な価値が鍵を握るようになった。
分業構造の見直しを考えるための理論的な枠組みも検討した。文理融合の重要性、具体的には、デザイナーと技術者の統合や、さらには、マーケティングや営業も一緒になり、顧客の経験価値を創出する必要性を検討する枠組みである。統合的価値の重要性を「顧客価値の暗黙化」と「SEDAモデル」で明示し、それを創出する組織として、これまでの分業化を見直す「分業組織の統合化」の概念で提示したのである。平成28年度の目標は十分に達成されたと考える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度の目標は理論的モデル構築であり、3つの重要なモデルを創出することができたので、目標に沿って順調に進展していると評価する。3つのモデルは、第一に、統合的価値の重要性を「顧客価値の暗黙化」としてモデル化した点、統合的な顧客価値を「SEDAモデル(Science、Engineering、Design、Art)」で明示したことと、それを創出する組織として、これまでの分業化を見直す「分業組織の統合化」のモデルを提示した。これらを、『一橋ビジネスレビュー』に「顧客価値の暗黙化」、『サービソロジー』には「製造業におけるサービス価値の創出」、『IEレビュー』には「ものづくりと価値づくり」として、3つのジャーナルに論文掲載することができた。さらには、日本経済新聞にも10回にわたり掲載され、社会実装にも結びつける活動も順調に進めることができた。
これらの成果に結びついたのは、研究計画どおり、企業における詳細な聞き取り調査ができたからである。研究計画と少し異なるのは、竹中工務店やキーエンスといった大阪にある企業への出張訪問が、スケジュール調整のため困難となり、代わりに、日本電気、日本アビオニクス、横河電機などの東京都内にある企業での聞き取り調査へ変更した。しかし、得られた定性的データは十分に良いものであり、理論構築に役立てることができた。予算としては、このような理由で出張予算が計画よりも減少したので、平成29年度に繰り越した。
これらを総合的に見て、平成28年度の目標は十分に達成されたと考える。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度の研究計画として、第一に「統合的価値づくり研究会」の開催を掲げたが、マイナーな修正の上、既に第一回目を開催した。修正内容は、会の名称を「デザイン価値研究会」に変更した。デザイナーや芸術系の人たちにも積極的に参加してもらえることを意図した。第一回では、無印良品や富士フィルムのデザイナーが参加し、統合的価値づくりの議論が活発に実施できたので、今後ともこの名称で、研究会を実施していく。その中の議論を通して、平成28年度に創出した「SEDAモデル」を、理論的に洗練させていくための研究に結びつけていきたい。
詳細な事例研究については、マツダ株式会社を中心に進めていく。マツダは、SEDAモデルの実現に最も近いということがわかったので、まずは、ここでのSEDAモデルの実現内容について詳細に研究することが、理論的な深みを追求するためには、必要だと判断した。また、平成28年度に実施できなかった、大阪にある竹中工務店やキーエンスといった企業への出張訪問も実施する。特に、歴史的にSEDAモデルと整合的な建築業界やアートとエンジニアリングの統合を常に考えている建築家の研究も進める。また、大学教育としても、工学部の中で、唯一、アート、デザインと一緒にエンジニアリングを教えてきた建築学科の調査も実施する。東京大学、京都大学、大阪大学、早稲田大学などを候補としたい。
SEDAモデルを洗練させるとともに、経営者や政策立案者へも普及させるため、発表の機会も積極的に作っていく。

Causes of Carryover

①購入を予定してたパーソナルコンピュータ(Apple)の新型が平成29年度に発売になるため、購入を延期したため。
②竹中工務店とキーエンスへの大阪出張が、スケジュールが調整できなかったので、東京都内の横河電機などへ変更した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

①パーソナルコンピュータ(アップル)の新型を購入する。
②平成28年度に実施できなかった、大阪出張を実施する。

  • Research Products

    (6 results)

All 2017 2016

All Journal Article (4 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 顧客価値の暗黙化2017

    • Author(s)
      延岡健太郎
    • Journal Title

      一橋ビジネスレビュー

      Volume: 64 Pages: 20-30

  • [Journal Article] 製造業におけるサービス価値の創出2016

    • Author(s)
      延岡健太郎
    • Journal Title

      サービソロジー

      Volume: 3 Pages: 4-11

  • [Journal Article] 意味的価値創出の重要性2016

    • Author(s)
      延岡健太郎
    • Journal Title

      感性イノベーションガイドブック

      Volume: 27 Pages: 1-12

  • [Journal Article] ものづくりと価値づくり2016

    • Author(s)
      延岡健太郎
    • Journal Title

      IEレビュー

      Volume: 57 Pages: 6-11

  • [Presentation] Innovation Management in New Normal Era at Japanese Manufacturing Firms2016

    • Author(s)
      延岡健太郎
    • Organizer
      The Kyunghyang Forum
    • Place of Presentation
      the Lotte Hotel Seoul、韓国ソウル市
    • Year and Date
      2016-09-28
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] Art Thinking beyond Design Thinking: Mazda Design Car as Art2016

    • Author(s)
      延岡健太郎
    • Organizer
      PICMET’16
    • Place of Presentation
      Waikiki Beach Marriott Resort、米国ハワイ州ワイキキ市
    • Year and Date
      2016-09-05
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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