2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03864
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
高 瑞紅 和歌山大学, 経済学部, 教授 (30420459)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グローバル調達 / 国際分業 / 本社機能 / 多国籍企業 / 駐在員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多国籍企業本社の役割に焦点を当て、戦略的グローバル調達を推進する上で本社の戦略方針の策定と推進方法、各拠点間の役割分担、海外駐在員の育成と派遣の仕組みを考察することにある。研究計画で予定したイギリスと北欧に本社を置く企業についての資料収集、そしてサプライヤーを含むインタビュー調査を実施した。また、各種の研究会や国際学会にも参加し、多くの研究者と意見交換や議論をすることができたため、情報の収集や研究内容の洗練に取り組んでいた。 これらのインタビュー調査や企業内資料に基づいて、戦略的グローバル調達を推進している欧州系多国籍企業は、本社の調達機能部門や海外にある調達拠点、そして世界各地に立地する生産拠点などといった企業内拠点間の調整と連携が頻繁に行われている傾向が見られる。また、グローバル調達や生産、R&Dなど異なる機能を持つ海外拠点の中、高い組織能力を蓄積しながら、企業内ネットワークの形成と拠点間連携の促進に大きな役割を果たしていることが明らかになった。こうした分析を踏まえて、論文の作成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インタビュー調査や企業資料を整理した上で、デンマークのオールボー大学で研究報告を行い、同じ研究関心を持つ研究者と議論を行った。現在、先行研究を検討した上で、原稿の作成や学会における研究報告の準備を進めている。よって、「おおむね順調に進展」と判断することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
現行通り、インタビュー調査と学会での研究報告を行い、成果を継続して出せるようにする。ここまでおおむね順調に進捗しているため、大きな変更は必要ないと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度は、在外研究で海外長期滞在を実施した。海外滞在中、本基金で計画したイギリスや北欧に本社を置く企業についての資料収集、そしてサプライヤーを含むインタビュー調査、北欧で行った研究の打ち合わせと研究報告等を並行で実施した。そのため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究計画書では、海外共同研究者の協力を得て、ヨーロッパ大陸地域に本社や生産拠点を置く企業の調査を行う予定である。計画通りのインタビュー調査、学会報告、原稿の作成を実施する。それに加えて、海外共同研究者と一緒に欧州系多国籍企業が日本と中国に設置している拠点の訪問を追加する。それは以下の背景がある。海外共同研究者の最近の実証研究では、高収益の多国籍企業の海外生産拠点が本国の生産拠点に比べ、比較的高いコンピテンスを有する傾向が見られた。日系多国籍企業では、本社拠点に比べ、より高いコンピテンスを有する海外拠点は稀である。そのために、企業全体の高収益に貢献する海外拠点の役割進化とそれを可能にした拠点間連携、グローバル調達の実行に与える影響を分析する必要がある。生じた次年度使用額は、その追加したインタビュー調査の使用に充てる予定である。
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