2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03864
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
高 瑞紅 和歌山大学, 経済学部, 教授 (30420459)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 本社の役割 / 国際分業 / 役割分担 / 多国籍企業 / 拠点間連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画通り、海外にある大学の研究者の協力を得て、欧州大陸地域に本社や生産拠点を置く多国籍企業の調査を行った。また、海外での研究協力者と一緒に、日本多国籍企業も訪問し、インタビュー調査を行った。2年間にわたって文献レビュー及び研究調査に基づき、国内外で開催する学会・研究会で研究報告を行った。それらの研究報告を踏まえ、研究で取りあげる問題を明確にして、そこで明らかになった問題点を整理し、さらに企業調査を行った。企業でのインタビュー調査や学会での研究報告と並行にして、論文の作成も進めてきた。その中から2つ研究成果を紹介する。 企業の国際化プロセスは、一般的に代理店や販売子会社による輸出から、最終的に現地生産へと徐々に海外投資に伴って国際的活動を拡大してきた。こうした事業の国際展開が進む中、販売や国際調達、生産など海外に設置される拠点は重要な役割を果たしてきた。2017年7月中国で開催された国際学会ICOSCMで発表した学会論文は、事例研究により、企業間の国際分業や企業内拠点間の連携が海外での生産ネットワークの形成に影響を与えること、それらの国際分業や拠点間連携に多国籍企業の本社が重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、9月東北大学で開催されたアジア経営学会では、文献レビューを中心に海外拠点の役割について研究報告を行った。海外拠点の役割について、先行研究で注目されていない論点を指摘し、今後の研究課題を明らかにした。それは、多くの企業は世界規模で海外拠点を展開する中、海外拠点の戦略的役割とその変化に着目した研究が現れつつあるものの、海外拠点間の連携と相互作用による知識の拠点間横展開や、それが促進された要因及び多国籍企業の本社の役割などについての議論を展開する必要があることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、先行研究の検討や企業でのインタビュー調査を行い、国際内外での学会や研究会で報告し、原稿の作成を進めた。よって、「おおむね順調に進展」と判断することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度、これまで学会や研究会でいただいたコメントを参考し、論文の完成度を高める。同時に、中国に生産拠点を比較的多く有している多国籍企業を対象にし、インタビュー調査を行い、グローバル調達の進展過程、そして海外拠点と直接投資の相関関係を考察する予定である。 また、海外の研究者との連携を強化し、日欧米多国籍企業や新興国多国籍企業に関する比較調査を進めることを予定してている。現行通り、インタビュー調査と学会での研究報告を実施するとともに、多国籍企業本社の役割についての系列的比較と国際比較を行い、成果を継続して出せるようにする。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由)平成29年度は、在外研究で3ヵ月海外長期滞在を実施した。海外滞在中、本基金で計画したヨーロッパに本社を置く企業についての資料収集、そしてサプライヤーを含むインタビュー調査、研究の打ち合わせと研究報告等を並行で実施した。そのため、次年度使用額が生じた。
(使用計画)平成30年度の研究計画では、事前に計画したインタビュー調査、学会報告、原稿の作成に加えて、海外共同研究者と一緒に欧州系多国籍企業が日本と中国に設置している拠点の訪問を追加する必要が生じた。この追加の拠点訪問に必要な経費を充当するため、平成29年度の研究費を平成30年度に回した。
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