2017 Fiscal Year Research-status Report
在アジア日系企業における人的資源の有効活用と異文化間職場摩擦マネジメント
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16K03871
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大西 純 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (60447109)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 異文化マネジメント / 在アジア日系企業 / タイ、ベトナム、インドネシア、中国、フィリピン / 異文化間職場摩擦 / 日本的経営 / 国際ビジネス / リーダーシップ / 人的資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに量的調査は終えていたのでその結果を分析して在アジア日系企業における日本人管理職と現地人従業員間の職場摩擦を解消または予防する施策を考案した。この施策案を在タイ日系企業でその効果を検証するのが本年度の主たる研究目的であった。しかしながら2016年10月にタイの国王が逝去されたためタイ国全体が2017年10月まで喪に服す事になり、多くの在タイ日系企業から事前に異文化間職場摩擦予防施策案の職場での試用に合意を得ていたにもかかわらず延期の要請が相次いだ。結局、2017年11月にタイ王国で日系企業に勤めるタイ人従業員および日本人管理職向けに別個にセミナーを開催するまでほとんど活動する事ができなかった。セミナーではまず日本人とタイ人の働く文化の違いから生じる職場摩擦を両国間の地理的、歴史的、宗教的、教育的差異から分析し、それらを踏まえた上で如何に異文化間の職場摩擦を防ぐかを講義した。参加者からは活発な質問が出され、事後のセミナー評価も高いものを得ることが出来た。また2018年1月に初めて企業内異文化間職場摩擦予防施策案の実施ケースとして大手鉄鋼メーカーのタイ支社でセミナーおよび施策案の検証を行った。現在その効果について問い合わせ中であるが概ね実行力あるとの回答を得ており、今年度再度検証の機会をいただけるとの連絡を受けている。この防止策の異文化マネジメント教育への活用であるが、2018年3月にはタイ王国国立カセサート大学でこの異文化摩擦解消法に関する研究発表の機会を得ることが出来、また横浜市立大学で講義担当している人的資源管理論、組織行動論の事業でも紹介する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前述したように2016年10月にタイの国王が逝去されたためタイ国全体が2017年10月まで喪に服す事になり、多くの在タイ日系企業から事前に異文化間職場摩擦予防施策案の職場での試用に合意を得ていたにもかかわらず延期の要請が相次いだ。企業に直接交渉が出来なくなったため東南アジアで広範にコンサルタント事業を行っている企業に相談申し上げた結果、日・タイ異文化セミナーを実施し、その一環として異文化間職場摩擦防止策の効果を検証してみてはどうかという助言をいただいたのでその形でセミナーを実施した。セミナーではまず日本人とタイ人が協働する場合にどのような問題(研究者はこれを職場摩擦としている)が発生するのかまたその原因は何かを両国間の地理的、歴史的、宗教的、教育的差異から分析し、それらを踏まえた上で如何に異文化間の職場摩擦を防ぐかをを講義した。また職場摩擦防止策については日本人・タイ人間で実際に発生した職場摩擦に基づいた事例研究を紹介し、研究者の防止策に沿って分析したもらった。在タイ日系企業の日本人従業員はほぼ研究者の意図を汲み取ってその効果を検証してもらえたのであるがタイ人従業員は職場摩擦として研究者が意図したものと違う点を職場摩擦と理解していた点があり、この辺の調整が今後の課題となった。またやはり企業向けに異文化職場摩擦案の検証が重要であり後日大手鉄鋼メーカーで実施する事ができたが今後どのようにこれを実行するかも大きな課題である
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き異文化間、具体的には在タイ日系企業において日本人従業員とタイ人従業員間に発生しうる異文化間職場摩擦防止策の在タイ日系企業での検証が主たる研究目的となるが2016年10月から2017年10月までタイ国王逝去に伴いタイ全土喪に服し、在タイ日本企業の多くも本業以外の活動を自粛したこと、またその間に以前調査依頼を了承していた日本人担当者の多くが転勤、帰国したため、新たに調査協力在タイ日系企業を探す必要性が出てきた。以前に比べて日本の大学研究者が在タイ日系企業に調査依頼をするケースが増えてきており、なかなか競合が多く以前のように調査協力を得られないのが現状である。打開策として在タイ日系企業の日本国内の本社にて異文化マネジメント講習を行いその後在タイ支社での協力を願いするという形で現在いくつかの折衝を行っている。既に京都に本社のある大手部品メーカーから講習の依頼が来ている。また日系企業に就職を希望するタイ人学生向けに事例研究として実際に日系企業で発生した異文化間職場摩擦を紹介し、研究者の摩擦防止策を検証する機会を得るためいくつかのタイの国立大学と交渉しており、前年に引き続きタイ王国カセサート大学およびベトナムアジア工科大学院ベトナム校博士課程後期にてそれを行う機会を得られる事が決定した。またある程度、異文化間職場摩擦防止案効果が検証できた段階で国内外の学会(異文化系学会、IIRS国際学会)で発表することを計画している。
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Causes of Carryover |
前述のように2016年10月にタイの国王が逝去されたためタイ国全体が2017年10月まで喪に服す事になり、多くの在タイ日系企業から事前に異文化間職場摩擦予防施策案の職場での試用に合意を得ていたにもかかわらず延期の要請が相次いだ。結局、2017年11月にタイ王国で日系企業に勤めるタイ人従業員および日本人管理職向けに別個にセミナーを開催するまでほとんど活動する事ができなかった。そのためこの期間に計画していたタイ出張取りやめ、またその後の3回にわたる講演、研究発表は主催者側の招待であったため費用が発生しなかった
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