2017 Fiscal Year Research-status Report
成長企業の出口戦略とガバナンスのダイナミズム:外部取締役と創業者の役割変化の検証
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16K03875
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山田 仁一郎 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (40325311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 久美 香川大学, 経済学部, 准教授 (30325310)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 企業統治 / 社外取締役 / 取締役会 / 役割アイデンティティ / ガバナンス / 質的研究 / スチュワードシップ・コード / 役割認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本企業を対象に、ガバナンス体制の役割と機能と課題について、経営戦略論と組織論の観点から検証することにある。研究調査の分析単位は、企業の役員会の中でも外部取締役に焦点を当て、彼らの役員会実務と意思決定過程と状況を分析し、企業成長戦略に与える影響を明らかにする。 今年度は、昨年度実施した60名の東証上場企業の社外役員のインタビュー調査の結果について、その役割認識について質的研究調査法に基づいて分析し、米国経営学会(Academy of Management Meeting)ならびに世界戦略学会(Strategic Management Society 37th Annual Conference)において報告を行った。また昨年に引続き、日経ビジネス等の媒体を通して実務家向けにレポートを行い、経営者や弁護士等実務専門家との討議の場を持った。 コーポレートガバナンスコードの導入から独立社外取締役の数は大きく増加し、また女性など多様な社外取締役の登用も増えている。社外取締役には経営者の戦略的意思決定をモニターする役割が期待されているものの、社外取締役の間では自らが果たす役割に認識の違いがみられる。また経営者も社外取締役には自らのモニターよりも外部の専門家として助言を期待する傾向がある。さらに企業の経営戦略によって、社外取締役の任命に関しても違いがある。社外取締役がどのような役割アイデンティティの認識とその文脈をもっているのかが、鍵となることがわかってきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
社外取締役のインタビュー調査結果の質的比較分析には大変時間とエネルギーを要した。概ね一次調査は順調に推移している。現在は、収集した質的情報を企業情報アーカイブに基づいて、データベースとして構築し、定性的分析ソフトウェアを使った質的比較分析を進めている。一定程度の理論構築を進行させている。この理論構築の面でも、学会発表と学術査読論文の発表など順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
コーポレート・ガバナンス制度の改革直後の時期における、日本企業の社外取締役の貴重なインタビュー調査のデータについて、さらに追加的なフォローアップ調査を進める。同時に、本格的な質的比較分析(QCA)に基づく理論化を進める予定である。論文は、国際学会で発表する予定である。同時に、補完的な意味で、当該対象の日本の東証上場企業の社外取締役の任用についてのアーカイブデータに基づく定量的な分析も進め、これについても国際学会で発表を予定している。
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