2016 Fiscal Year Research-status Report
戦略形成プロセスからみる新興国のイノベーション:日本企業の創発的グローバル戦略
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16K03884
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三嶋 恒平 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 准教授 (90512765)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 戦略形成プロセス / 新興国 / アフリカ / バングラデシュ / インド / オートバイ産業 / 事業戦略 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の本研究の成果目標は2つあった。第1に、ホンダやヤマハ発動機など日本のグローバル企業の新興国におけるイノベーションと経営資源の配分に関する情報の収集と整理である。この目標に沿った研究実績として次の2点を挙げる。ひとつはアフリカ(ケニア、ウガンダ、タンザニア、ルワンダ)という新興国のなかでも最後発のエリアでの調査を行い実態解明を進めたことである。ここから、本研究は一口に新興国といっても多様な経済段階が存在することを指摘し、市場の多様性とそれに起因する参入障壁を検討した。というのも、グローバル企業は現地適応を進めながら、グローバルな標準化戦略を推し進めようとしているからだ。もうひとつは、タイのチェンライでの需要と流通の動向に関する調査を行ったことだ。これにより都市部のみならず地方という新興国の重要な市場と流通の実態が明らかになった。こうした地方部はグローバル企業にとって最優先のターゲットではなかったが、競争が激化する中、地方部の重要性が高まる一方、その実態は不明のままであることが多く、それゆえ、本研究が実態解明した意義は大きいだろう。 成果目標の第2は、業界1位のホンダと二輪車産業の共進化を明らかにすることだった。これは業績一覧のとおり、論考を学会での口頭発表する段階まで進めることができた。さらに学会での報告を受けた質疑応答や各種ディスカッションを通じて、他者の厳しい意見、コメントをもらうことができ、研究を客観化するとともに、深めることもできた。引き続き、平成29年度においても国際学会、国内学会での報告がいくつか確定し、さらなる考察の深化を狙っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書類に記した研究計画は上記研究実績の概要のとおり、所期の目的を果たしていると考えられる。この評価は各国、各地での現地調査を進め実態解明を進めたこと、こうした調査を踏まえて論考を深め学会での口頭報告を行ったことを根拠としている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として主に次の3つを挙げたい。第1に、新興国での事業戦略と企業行動、イノベーションに関する実態解明を進めることである。平成29年度はタイやベトナムなど東南アジアを改めて調査対象としていきたい。なぜなら、東南アジアについては研究代表者が2008年までは実態解明を進めてきたが、その後は他の研究も含め、東南アジア各国に関するオートバイ産業蓄積は十分にはなされてこなかったからである。 第2に、国内外の学会において口頭発表を行うことである。平成29年4月の時点で既に3つの研究報告(国際学会2、国内学会1)が確定している。さらにもう1つ、より理論志向の強い国際学会での報告に挑みたい。これら学会報告とそこでの議論を通じて、実態解明で得られた諸点について検討し、理論的課題を抽出していく。 第3に、これら2点を踏まえた論文の作成し、発表していくことである。平成29年度中に国内学会誌に1本の投稿と掲載を目標としたい。あわせて、国際学会の査読誌にも投稿する予定だ。
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Research Products
(8 results)