2016 Fiscal Year Research-status Report
ソフトウェア開発プロジェクトにおける資源動員プロセスの研究
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16K03889
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小阪 玄次郎 上智大学, 経済学部, 准教授 (90582297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 貴宏 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (20649321)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | チーム / 新製品開発 / 職能間統合 / 両利き学習 / 組織風土 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本のソフトウェア企業の新製品開発プロジェクトにおける資源動員の特徴を明らかにするという目的から出発した。 平成28年度には、まず年度前半に、IT企業A社を対象としたインタビュー調査を実施した。その結果、開発プロジェクトにおいては、職種によって異なる志向性をいかに調和させ、創造的な成果に結び付けられるかが一つの大きな課題となっていることが浮かび上がった。 次に、このような問題関心と既存の理論との関連性を模索するため、先行研究のレビューを行った。チーム・レベルを分析単位とした先行研究において関連する論点として、職能間統合、「両利き」の学習、組織風土、といった研究分野の文献を渉猟した。とりわけチーム・レベルにおける「両利き」学習についてはその重要性が指摘されているものの、研究は緒についたばかりであり、理論的貢献が見込める領域であることを確認した。 「両利き」とは、既に持っている資源を有効に活用することと、新たに資源を探索する二つの異なる方向性を両立させることを指す。企業組織において「両利き」学習がなされていれば、既存事業の強みの漸進的な改良と、急進的な変化との双方に適応できると考えられている。そのチーム・レベルでの先行要因や促進要因が明らかにできるならば、理論的貢献ばかりでなく、一定の実務的示唆を提示することも可能ではないかと考えた。 そこで本研究は、チーム・レベルでの両利き学習が開発成果に与える影響、および両利きの先行要因、促進要因を解明する、ということに問題を特定化した。この問題設定は質問票調査による定量的な実証が適していると考えられる。そのため年度後半にかけて、使用する尺度を整理し、比較的少数の回答者を対象としたパイロット調査までを完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
海外大学の研究者との共同研究とし、月に1-2回ほどオンラインでの研究打ち合わせを行ったり、日本への招聘を行った。これにより本研究を推進するうえでの豊富な知見、助言を得ることができた。結果、当初は2年目以降に本格化する予定であった質問票調査の設計を前倒しして行うことができ、既にパイロット調査まで終えている段階である。当初の計画以上の良好な進捗状況にあると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまで質問票調査の調査準備は順調に進行している。今後は、本調査に向けた質問票の完成、2-3カ月間隔での質問票の配布・回収、結果の分析を順次進める。分析結果については、次年度の国際学会発表を目指す。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、海外研究者との共同によって、当初計画に比して研究の進捗が迅速化、効率化された。このため、当初計画していたデータベース入力にともなう謝金等が不要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画をやや前倒しして、平成29年度に質問票調査を実施するための経費として充当する。
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