2018 Fiscal Year Research-status Report
ソフトウェア開発プロジェクトにおける資源動員プロセスの研究
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16K03889
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
小阪 玄次郎 上智大学, 経済学部, 准教授 (90582297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 貴宏 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (20649321)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | チーム / 新製品開発 / 職能間統合 / 両利き学習 / 組織風土 / 創造性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の具体的な調査課題は、チーム・レベルでの両利き学習が開発成果に与える影響、および両利きの先行要因、促進要因を解明することにある。この目的に沿い、前年度には、IT企業A社を対象とした質問票調査を実施している。平成30年度には、この調査で得られた結果の分析を行うとともに、A社に対する実務的なフィードバックを行った。 当初の計画では、チーム・メンバーから得られた測定尺度をチーム単位に集約して用いることを想定していた。しかし級内相関係数を見ると、基準値を下回る尺度が少なくなかった。このため主に2つの分析の方略をとることとした。一つは、独立変数をチームレベル、従属変数を個人レベルに設定した、階層線形モデリングによる分析である。もう一つは、使用する変数をチーム単位のみ、あるいは個人単位のみとした共分散構造分析である。現在までに得ている分析結果の一例としては、チームの多様性は、年齢、性別のような属性の多様性と、職種、勤続年数のような技能にかかわる多様性とで、チームの両利きに与える影響が異なる、というものである。 こうした学術的な分析と並行し、2019年2月には、分析結果をもとに、A社に対する実務的なフィードバックを行った。内容の一端のみ挙げると、A社の社員が職務に対して抱く心的態度の複数の尺度が、男女間や、職種間などでどのように差があったかの分析結果を提示した。A社からは、おおむね納得できる内容であるとの指摘とともに、好意的な評価を得ることができた。 今後の分析の方向性として、上述の分析をさらに洗練させ、マルチレベルSEMや、多母集団同時分析といった手法をとりいれることを検討している。これにより、変数間の因果関係をより精密に理解するとともに、カテゴリーの異なる社員間での変数間関係の違いを明らかにしていくことが可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、海外大学の研究者との共同研究とし、月1度程度のオンラインでの研究打ち合わせを継続した。これにより分析手法を洗練させていくうえでの豊富な知見、助言を得ることができている。国際学会報告が最終年度の課題となるが、おおよそ当初計画通りの進捗といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
既に前年度に質問票調査のデータ収集を問題なく終えたことにより、本研究の遂行が大きく阻害される可能性は非常に小さくなったと考えられる。今後は、入手したデータの分析を進め、国際学会発表に向けた論文作成・投稿を行う。
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Causes of Carryover |
派生的な研究成果の報告は徐々に行っているものの、国際学会発表を主として平成31年度に行うこととした。このため、本年度の所要額の一部を次年度使用に持ち越している。
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Research Products
(3 results)