2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03895
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
高井 文子 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (10408693)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | CEOのパワー / オンライン証券業界 / 経営戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、平成28年度に整備を行い、データ分析を行った結果に引き続き「日本企業ならびに主要な海外事例の定性的な側面を慎重に検討しながら分析を修正・補強する」作業を行った。その結果、当該年度ではこれまでの研究の一連の成果として4件の論文が刊行された。また、報告は2件行われた。順調に研究が遂行出来ていることを示していると言えよう。 当該年度での興味深い結果の概略は、以下の通りである。 極めて早いスピードで技術変化が生じている日本のオンライン証券業界を対象として、「経営者のパワー」が企業経営に与えている影響について、探索的な定量分析を行った。(1)経営不振と撤退の間には相関はない一方で、金融再編(親会社の合併)は撤退に有意に正の影響を与えていた。(2) CEO powerが強いほど、撤退が選択される可能性が高かった。(3) CEO powerが強いほど、経営不振に陥る可能性は低かった。(4) CEO powerが強いほど、重要な戦略の採用が進んだ。(5)国内金融機関の子会社では、重要な戦略変数の採用をしない傾向だった。 このような結果が出る一方で、今年度の研究において、新聞や金融関連専門雑誌の記事を収集し丹念に読み込むことより、あるいは査読論文や学会報告での指摘から、「CEOのパワー」に関する代理変数について、日米による差異を検討することが必要であることが示唆された。さらなる変数の検討や再分析を、イベントヒストリ分析に反映させて修正分析を行うことで、企業の生死に与えた要因分析の様相について実態に即した極めて興味深い分析が期待できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に成果を報告し、評価を受けているため。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度も十分な成果を継続して出すことが可能であると考えられる。しかしながら、今年度の研究において、新聞や金融関連専門雑誌の記事を収集し丹念に読み込むことより、あるいは査読論文や学会報告での指摘から、「CEOのパワー」に関する代理変数について、日米による差異を検討することが必要であることが示唆された。さらなる変数の検討や再分析を、イベントヒストリ分析に反映させて修正分析を行うことで、企業の生死に与えた要因分析の様相について実態に即した極めて興味深い分析が期待できると考える。平成29年度までの研究では、一定の成果が評価されたものの、より学術的貢献を高めるため、平成30年度以降も継続して研究を進めるという可能性が出ている。
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Causes of Carryover |
研究報告などにおいて、予定よりも近郊で行われたこと、またデータ収集なども既存のデータベースやインタビュー等で得られた情報を活用することで、予算より抑えた研究遂行が実施できたことが、使用額の減少に繋がっている。しかしながら、一方で、より深い研究を目指すため、期間を延ばして行う可能性が出てきた。出費が抑えられた予算は、追加のインタビューや学会報告、データ収集などに使用して、より学術的貢献を高めていきたいと考える。
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Research Products
(6 results)