2018 Fiscal Year Annual Research Report
The US/Japan Comparative Study on the Similarity & Difference of Japanese-type Influencer
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16K03896
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
西澤 昭夫 東洋大学, 経営学部, 教授 (80257435)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域エコシステム / インフルエンサー / 分岐型イノベーション / 大学発ベンチャー企業 / Small i / Institutional Isomorphic / 組織フィールド |
Outline of Annual Research Achievements |
大学発ベンチャー企業を担い手とする「分岐型イノベーション」創出を可能にする地域エコシステムの構築について、日米という文化、歴史、制度も大きく異なる両国において、地域エコシステムの構築に成功して「分岐型イノベーション」を創出するとともに、その成果を新たな産業形成につなげ、地域経済を再生しえた地域においてはインフルエンサーが大きく貢献していた事実を明らかにすることができた。インフルエンサーは、外部者としての視点を地域に持ち込み、ビジョンを提示しつつ、これに賛同する実務家をネットワーク化し、「分岐型イノベーション」創出を担うベンチャー企業の育成支援組織を整備しつつ、成功事例を生み出すことによって、このネットワークの必要性を認知させ、規範化させることによって、地域における新たな制度構築を実現する。ただ、この構築プロセスはアメリカの成功事例においても10年以上かかる困難な過程であった。この期間は、既存の政治や行政の時間軸とは大きく異なるがゆえに、エコシステム構築の活動は先進国における地域経済再生策として策定・実施されながら、十分な成功を上げえない原因となっており、日米の事例をもとにこの原因を明らかにすることに成功した。インフルエンサーは、この既存の政治や行政の時間軸の制限を超えて、大学発ベンチャー企業支援にコミットし続けることができるだけでなく、成功事例がインフルエンサーの活動の正当性を与える根拠となっていた。本研究においては、インフルエンサーによる地域エコシステム構築を地域における新たな制度(=Small iと定義される)構築という観点から整理し、インフルエンサーというアクターの活動、及び地域エコシステムの具体的な構築モデルを提示するとともに、新たな制度構築が既存制度に同化される(=Institutional Isomorphic)の陥穽についても、明らかにすることができた。
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