2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03897
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
村田 康一 日本大学, 生産工学部, 准教授 (90580077)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 改善 / 見える化技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、製造業の生産職場における技術伝承システムの構築方法を明らかにすることである。特にその中においても、トヨタ生産方式に代表される経営管理技術の中心的な活動であり、生産システムの性能向上と人材育成の両面において効果を上げている改善活動において広く普及が進んでいる見える化技術の成功事例を取り上げて、効率的な管理のあり方について検討を行っている。 この目的に対して平成29年度のテーマは見える化技術の導入事例の調査であった。平成28年度(前年度)は、オペレーションマネジメントやサプライチェーンマネジメントの分野において広く援用されている制御理論を参考にしながら、見える化技術をそれにより管理されるシステムとそれを用いて管理を行う人のコミュニケーションツールとしてとらえ、当該技術の内部的な構造を図式化するための方法論を提案した。平成29年度(本年度)は、この成果物を利用するステップとして位置づけており、見える化技術の導入を積極的に行っている複数の職場に行き、実際に導入されている事例についてヒヤリングを行い、実物のスケッチを行った。また、それらの情報に基づいて、提案書式により各事例を記述することを試み、本技術の内部的な構造を表現できることを確認した。 これらの取り組みを通して、本研究に関連する研究業績として、国際学術誌への1件の掲載と国際学会において4件の発表を行い、本研究業績を所属大学と拙研究室ホームページに公表した。 以上の計画に対する実績は、様々な表現形式で多くの産業において導入・利用されている見える化技術を統一的な書式で記述することを示しており、事例を効率的に水平展開するための方法論確立の一歩として意義があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、製造業の生産職場における技術伝承システムの構築方法を明らかにすることであり、特に、改善活動において用いられている見える化技術の成功事例を効率的に管理するためのあり方について検討することであった。また、この目的に対して3ヵ年の研究計画の中間年度にあたる本年度(平成29年度)は見える化技術の導入事例の調査をテーマとして取り組んでおり、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると考えられる。 前年度に提案した見える化技術のフレームワークの適用について、生産職場において導入されている事例の調査が本年度の目的であったが、いくつかの企業の協力の中で、実際の事例を直接観察すると共に、それらの詳しい説明をうかがうことができる機会を得ることができている。その結果として、前述した提案フレームワークの適用に関する検証を円滑に行うことができた。 また、当該テーマを遂行できるようにするために、得られた成果の学会における報告を研究スケジュールに含めながらPDCAサイクルをまわすことにより、研究の進捗管理を行っているが、今年度は、SCIクラスの国際学術誌であるInternational Journal of Industrial Engineering: Theory, Applications and Practiceへの1件の論文掲載や、47th International Conference on Computers & Industrial Engineering(CIE47)などの国際学会において4件の発表を行うことができた。また、これらの研究業績を所属大学と拙研究室ホームページに公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度から平成30年度の3ヵ年の研究計画のうち、平成30年度は3年目の最終年度となる。本研究の目的は、生産職場における技術伝承システムの構築方法を明らかにすることであった。最終年度にあたり、これに関連する目標として、生産職場における改善成果のマネジメント、特に、改善成果の整理・分類に関する要件、及び改善成果例として着目した見える化技術の技術伝承の要件について明らかにすることを目指す。また、これらの成果を国内学会や国際会議等において発表し、本研究業績を所属大学と拙研究室ホームページに公表することを計画する。 ここ数年、第4次産業革命などを背景とした生産職場のIoT化が注目されるようになっており、国内外における関連する技術・製品の展示会や生産マネジメントに関する国際会議等においても話題にのぼることが多くなっている。本研究でとりあげている見える化技術については、この話題の中心的なキーワードになっており、この流れは本研究テーマと密接にかかわっていると考えられる。最終年度の遂行においては、このような近年の背景をふまえた上で研究を進めていくことを検討する。特に、デジタル情報を扱う技術が本研究のテーマである改善成果のマネジメントや見える化技術そのものの導入において、どのような影響を及ぼすのかについて議論を進める。また、これまでの研究を通して、製造業以外の他業種や他産業においても同様の課題があることが認められる。これらについても意識しながら進めることを考える。
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Causes of Carryover |
本年度に投稿を行った国際会議において発表を予定している論文の査読スケジュールが遅れたため。 次年度に繰り越された額と当初請求した翌年度分の助成金のうち、前者については、本年度使用することができなかった論文の校閲等についてにあてる。また、後者については、当初の計画に従って利用する。
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