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2017 Fiscal Year Research-status Report

東アジア企業における経営理念の「生成・伝播・継承」プロセスの解明

Research Project

Project/Area Number 16K03898
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

三井 泉  日本大学, 経済学部, 教授 (00190679)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords経営理念 / アジア企業 / 経営人類学 / 文化翻訳 / 国際比較
Outline of Annual Research Achievements

本研究は東アジア企業の経営理念の動態について、「経営人類学」の方法に基づいて学際的現地調査を行い、その国別の比較と同時にアジア型の共通性について考察し、理論的フレームワークの構築を目指すものである。具体的には中国、台湾、韓国、日本における企業について、学際的(経営学、文化人類学、宗教学、社会学等)連携研究者と共同調査を行い、その成果についてに討論することを通じて、各自の専門領域から多角的に検討することと、それらの領域の特徴を融合させながら進めている。
本年度は、経営理念のアジア伝播に関して、研究代表者ならびに連携研究者が各自の調査課題を進展させるとともに、国内外における共同調査を行った。その概要は以下のとおりである。共同国内調査:オリンパス株式会社におけるインタビューならびにオリンパス技術歴史館(八王子)の見学(2017年8月)。共同国際調査:POSCO(ソウル本社)経営研究所におけるインタビューと報告、嘉泉大学におけるインタビュー(2018年3月)を行った。また、各自の個別調査は以下のとおりである。三井泉(研究代表者):京セラ(本社ならびに関連会社)、オリンパス、POSCO、延世大学、一般財団法人「池坊華道会」におけるインタビュー。住原則也(連携研究者):オリンパス、公文、ならびに池坊華道会におけるインタビュー。岩井洋(連携研究者):オリンパス、POSCOならびに延世大学、嘉泉大学におけるインタビュー。奥野明子(連携研究者):公文ならびに延世大学、POSCOにおけるインタビュー。河口充勇(連携研究者:松下資料館、京セラ本社、京都老舗企業に対するインタビュー調査。
以上の研究を相互に交換するため、7月、9月、10月(以上、帝塚山大学)、11月、12月、1月(以上、同志社大学)にて研究会ならびに研究打ち合わせを行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

この研究は、本科研費研究以前に2009年度から日本大学経済学部中国・アジア研究センターならびに甲南大学総合研究所の助成を受けて継続されており、その成果は、三井泉編『アジア企業の経営理念-生成・伝播・継承のダイナミズム-』文眞堂(2013)ならびに『アジア企業における経営理念の生成・伝播・継承に関する研究』甲南大学総合研究所叢書127(2016)などとして発表されている。
当該科学研究費(2016年度~2018年度)による研究は、以上の研究を引き継ぎ、研究代表者ならびに連携研究者がそれぞれの調査を継続するとともに共同調査も実施している。これらの個別研究は「日本企業の経営理念の海外伝播」と「アジア企業(日本以外)の経営理念の継承と伝播」の二つに大別される。これら研究の進捗状況を大略的に述べるならば、三井(研究代表者)は、以前から継続してきた「京セラ」「パナソニック」へのインタビューと参与観察に加えて、本年度はグローバル企業としての「オリンパス」「ジョンソン エンド ジョンソン」に対象を拡大して調査を進めた。その結果、グローバルに事業展開する企業において、その企業母体の出身国により「経営理念」のとらえ方に違いがあることが理解された。その理由は、企業の文化背景(特に企業と社会の関係性)にあるという仮説のもとに、三井は米国発のJ&Jの「クレド」とパナソニックの理念「信条」「綱領」等を比較した。その成果は(研究ノート)「経営理念とその文化背景に関る考察-『企業と社会』の関係性の観点から-」日本大学経済学部産業経営研究所『産業経営研究』第40号(2018年3月)として発表された。
また、連携研究者との韓国共同調査においては、文化背景のみならず産業構造の変化により、経営理念そのものが変容していく姿が明らかとなってきた。この研究は延世大学の研究協力者と共同で、今後さらに進められる予定である。

Strategy for Future Research Activity

今年度は、昨年度に引き続き、代表者ならびに連携研究者の調査状況を考慮しながら、全体をまとめて成果発表に向けて方向づけていきたい。
各自の研究計画は以下のとおりである。
三井泉(研究代表者):京セラのアジア進出調査、日本発のグローバル企業(オリンパス、京セラ、パナソニック等)と欧米発のグローバル企業(J における経営理念の比較、ならびに、アジアにおけるそれらの理念伝播状況の比較。岩井洋(連携研究者):韓国企業(POSCO、サムソン、誠心堂)の経営理念状況の調査、ならびにキンデン、キューピーの調査。住原則也(連携研究者):公文ならびに池坊のアジア進出調査。藤本昌代(連携研究者):LVMH(ルィヴィトングループ)のアジア進出ならびに、京都の老舗企業の海外進出調査。奥野明子(連携研究者):従来のヤクルト調査に加えて、老舗企業(兵庫県酒造業ならびに堺市伝統企業など)の海外進出に伴う理念伝播の調査。河口充勇:(連携研究者)台湾老舗企業調査(合壁、瑞成書局他、老舗企業親睦団体等の調査。
さらに、昨年度までに調査等を通じて協力関係を構築している延世大学の老舗企業研究者とともに、今年度後半には相互の研究成果を発表するための国際研究集会を韓国ならびに日本で開催することを予定している。また、この研究の成果については、各自が国内外の学会等において報告する予定である。また、来年度後半には、この研究の成果を英語で出版する予定であり、Springer社と研究代表者との間ですでに契約済みである。

Causes of Carryover

(理由)当初計画していた共同海外調査が、先方の事情により協力が得られなくなり、結果として実施できなくなった。連携研究者の学事スケジュールの調整がつかず、予定していた共同調査を大幅に縮小せざるを得なくなった。また、代表者や連携研究者の個人的事情等により、予定していた海外出張を取りやめざるを得ない事態が生じた。そのため、予定していた旅費および関連支出に相当の未使用額が発生した。
(使用計画)本年度(平成29年度)の調査を次年度に繰り越して実施する。加えて、本年度の研究実施の過程で、次年度の国際研究集会の必要性が生じたため、その実施に関する費用として支出することを計画している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 「M.P.Follett思想におけるPragmatism とPlularism-その意味と可能性-」経営学史学会編(第二十四輯)文眞堂、2017年5月)2017

    • Author(s)
      三井 泉
    • Journal Title

      『経営学史研究の興亡』(経営学史学会年報)

      Volume: 24 Pages: 61-76

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] (研究ノート)「経営理念とその文化背景に関る考察-『企業と社会』の関係性の観点から-」第40号(2018年3月)2017

    • Author(s)
      三井 泉
    • Journal Title

      『産業経営研究』(日本大学経済学部産業経営研究所)

      Volume: 40 Pages: 13-27

URL: 

Published: 2018-12-17  

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