2018 Fiscal Year Research-status Report
東アジア企業における経営理念の「生成・伝播・継承」プロセスの解明
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16K03898
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
三井 泉 日本大学, 経済学部, 教授 (00190679)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経営理念 / 海外伝播 / グローバリゼーション / 経営人類学 / 文化翻訳 / 理念継承 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2005年より研究代表者と連携研究者が行ってきている一連の「経営理念研究」の展開である。2018年度にわれわれが行ってきた研究は、前年度までの研究を受け継ぎ、アジア企業(主として日本、韓国、台湾)における経営理念の「生成・伝播・継承」過程についての調査ならびに調査結果の整理と分析を予定し、それを実行した。 特に今年度は、対象企業がグローバル事業展開をするに際して、どのように理念伝播が行われているかということについて明らかにすることを中心に研究を行った。研究代表者は、主として今まで行ってきたパナソニック、京セラの調査結果の再検討を行い、それに加えてオリンパスのグローバル化に関わる理念展開の調査および楽天の「英語化」にともなう理念変容についての調査を開始した。また、連携研究者はサムスンおよびPOSCO(韓国)の経営理念の展開に関する調査、台湾の先端的企業に関する調査、ヤクルトのアジア展開に関わる経営理念伝播の追跡調査などを行った。その結果、創業時の経営理念が、海外進出や企業環境の変動によって、文言のみならず文化的背景の変化とともに意味内容や解釈が変化していくことが明らかとなった。 われわれの研究は、1994年から国立民族学博物館(中牧弘允名誉教授)で行われてきた「経営人類学」という学際研究の手法を用いるものであり、文化人類学の参与観察やロングインタビューによる質的研究方法を用いることが多いが、その結果、「文化翻訳」という概念が、当該研究の分析枠組みのひとつとして大変有効であることがわかってきた。そこで、現在は、この枠組みを用いて、各研究者の調査結果を分析する作業に入っている。2019年度は、これらの成果を国内外の関連学会で発表するとともに、共著として海外で出版することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度までは研究代表者と連携研究者の学内外公務の増加、およびその他公私の事情により研究の進捗状況が思わしくなかったことから、1年の助成期間延期を行った。幸い現在では状況がかなり改善していることから、2019年度には研究の進展が大いに期待される。実際に現時点で成果も発表されつつあり、2019年度中には各自の国内外での発表や、共著として海外出版も予定されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、今までの成果について各自検討の上で、必要があれば追加現地調査や文献調査を行う。また、それらの結果を再検討するための研究会を開催する。さらに、学際研究チームであるため、各自がそれぞれが国内外の関連学会にて成果発表を行う。また、海外での共著出版のための論文執筆と編集を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究の遅延理由にも記したが、研究代表者ならびに連携研究者及の公務増加、ならびにその他公私の事情により研究が遅れたため、遂行すべき研究がなされなかったため、次年度への繰り越しを余儀なくされた。今年度は、追加調査ならびに検討のための文献購入、成果検討のための研究会の開催および成果発表のための学会出張、さらに研究成果出版に関わるデータ入力、資料整理、英文校正などの費用が必要となる。
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Research Products
(1 results)