2018 Fiscal Year Research-status Report
研究大学の産学共同研究履歴を用いた成果実用化の要因分析:計画性と柔軟性の効果
Project/Area Number |
16K03907
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 真木子 金沢工業大学, イノベーションマネジメント研究科, 教授 (70376680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 徹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (60771277)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 産学共同研究 / 産学共同研究履歴 / 実用化促進 / 研究推進支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、産学共同研究における研究成果の実用化促進要因を明らかにすることを目指し、産側の計画性および産学双方の柔軟性に着目した分析を行うもので、研究開始から3年目の今年までの成果は下記のようなものである。 1)産学協同研究の推進環境(専門人材の組織体制、関与の度合い)については、経年変化と現状把握、また統計解析に基づく外部資源獲得に対する正の効果を検証することができた。その結果について学会発表とともに内外有識者との意見交換も行い、計画2および3の課題検討の前提を確認することができた。2)組織的な連携、単一課題に閉じない連携の効果を把握するため、当初計画していた大規模データセットについて、事例候補の1大学をより詳細・長期に分析する方針とした。この方向性をふまえ、仮説検証のため申請時の計画より、質・量両面でデータ種を増強したデータセットを構築し、仮説検証を行なった。(計画2、および3関連)。本30(2018)年度の主たる成果は、この2)のテーマの仮説・検証の結果である。具体的には、産学共同研究関係における長期的なつながりを持つことの決定要因と、研究資金の量に対するつながりの影響について、構築したデータセットを用いて回帰分析による検証を行なった。その結果、技術的な知識を提供したり、共同で論文を発表したりすることが、相手方とのより強いつながりをもたらすことを見出しました。また、注目すべき点として、研究結果の存在、あるいは結果への満足が、長期的なつながりを促進するとは限らないということも明らかになった。このような関係が定まると、その後のプロジェクトでは研究費が多少高くなる傾向はあるものの、これらの関係のプラスの効果は永続的ではないことも明らかとなり、実務への示唆に富むものでもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 計画に基づき各人分担をすすめるとともに、得られた成果の国際学会発表を行なった(2018年10月)。この学会は、当該分野の研究者が集まる適切なセッションでの成果発表を行えたため、内外有識者と貴重な意見交換を行えた。その結果、2019年度に予定されている書籍への掲載候補となった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記記載のとおり、2018年秋の国際学会での発表内容が認められ、その内容を現在学会が中心となって計画している書籍化の1章として候補となっている旨の連絡があった。現在、掲載の是非について審査継続中であり、今後補足的な分析を行う可能性があることから、当初2018年度までの研究計画を1年延長し、書籍化にむけ十分な対応体制を組むこととした。つまり、今回の延長は、研究計画の遅延ではなく、書籍化検討の結果が2019年度後半になると予測されるため、本申請の成果を的確にまとめるため延長するものである。
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Causes of Carryover |
2018年秋の国際学会での発表内容が認められ、学会を中心とした書籍化の候補としての依頼があった。現在審査継続中であり、まだ補足的な分析を行う可能性があることから、そのための経費(英文校正費、追加検討のための旅費など)に充当予定である。
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Remarks |
政策研究大学院大学のディスカッションペーパーとして発表した
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