2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03908
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Research Institution | Gifu Keizai University |
Principal Investigator |
水野 和佳奈 岐阜経済大学, 経済学部, 准教授 (50458113)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 人的資源管理 / 労働意欲 / 提言行動 / 公務員 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は公務員の労働意欲を対象としており、第一の研究課題として,公務員の労働意欲を向上させる要因の解明に取り組んでいる。海外の先行研究では、統計分析によって、個人や組織の特性、職務環境等の諸要因が労働意欲に与える影響を解明している。これらのモデルが日本でも同様に適用できるのか,検証を進めている。第二の研究課題として,公務員の労働意欲が提言行動およびやりがい意識に与える影響の解明に取り組んでいる。 平成28年度の研究実績は,第一の研究課題に関するものとして,公務員の職務意欲を高める要因に関する先行研究を精査した。加えて,先行研究における各国での実証分析の方法および結果を検証し,公務員の職務意欲の測定指標(Public Service Motivation; PSM)の標準的な測定指標の解明に取り組んだ。 第二の研究課題に関するものとして,公務員および民間職員を対象とした提言行動の要因に関する先行研究の調査を行った。先行研究の調査・分析結果を踏まえ,公務員の提言行動を促進する要因(職務環境,個人属性,職務意欲等)について,実証分析のためのモデルの作成に取り組んだ。さらに,日本の公務員の提言行動の要因を検証するべく,日本の公私の労働者を対象とした「職務における提言行動」に関するアンケート調査結果を用いて実証分析を行った。 これらの研究成果は,2016年日本行政学会研究会(平成28年5月21日),分科会 A 「公務人的資源のマネジメント」において,「公務員の職務における向社会的提言の要因 ―『やる気(Public Service Motivation)』の影響 ―」というテーマで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の研究課題は,公務員の労働意欲の要因に関する実証分析を行うためのモデルを設計することであった。研究課題1は,「公務員の労働意欲を向上させる要因の解明」であり,研究課題2は,「公務員の労働意欲が提言行動および「やりがい」意識に与える影響の解明」である。このうち,研究課題1については,先行研究の調査分析を通じて「公務員の労働意欲」の測定指標,公務員の労働意欲(向上)の要因を解明し,モデルを設計することができた。研究課題2については,公務員の「提言行動」に関する先行研究の調査分析により,公務員の積極的提言行動の要因を検証するためのモデルを設計することができた。さらに,このモデルを用いた実証分析を行い,分析の結果を学会で発表することができた。しかし,公務員の職務意欲と「やりがい」意識の関係については,先行研究の分析を継続中で,モデルの設計には至っていない。 このように,平成28年度は研究計画に沿って一定の研究成果を得ている。しかし,「提言行動」に関する研究に集中して取り組み,この課題については計画以上に進展したが,「やりがい」意識に関する研究(モデルの設計)は現在も継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,公務員の職務意欲と「やりがい」意識に関する先行研究の分析を継続し,実証分析のためのモデルを完成させる。さらに,第一の研究課題として,平成28年度に設計した分析モデルを用い,実証分析を行う。分析のためのデータは,すでに得ている自治体職員および公私労働者を対象としたアンケート調査の結果を用いる。この分析により、「公務員の労働意欲」および,「公務員の提言行動」,「公務員のやりがい意識」の構造を解明するという本研究の中心課題について,一定の結果を得られる予定である。 さらに,第一の研究課題の結果(実証分析の結果)を踏まえ,より精度の高い実証分析の実施に向け,モデルや測定指標の改善・準備を行う。具体的には,自治体職員を対象としたアンケート調査および実証分析に向け,モデルを設計し,並行してアンケート対象組織との協議を行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度の研究課題2(公務員の提言行動およびやりがい意識の要因に関する研究)では,提言行動に関する研究が計画以上に進展したため,こちらに集中して取り組んだ。そのため,図書や論文などの資料収集(物品費)や研究会等の情報収集(旅費)の範囲が当初の予定よりも限定的なものとなり,今年度分の予算執行は予定より少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は,平成28年度に完了できなかった「やりがい意識」に関する研究を継続・進展させる。具体的には先行研究(論文・図書)をさらに収集し,必要に応じて,研究会等で発表し,助言を得る。28年度から繰り越した予算は,こうした情報収集の経費,および,分析用データ収集のための費用として使用する。
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