2017 Fiscal Year Research-status Report
知識労働者のキャリア中期以降の発達課題とキャリアの選択
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16K03909
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
三輪 卓己 京都産業大学, 経営学部, 教授 (10440869)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 知識労働者 / ミドル / 組織間移動 / 転機 / 経験学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
二年目の研究として、知識労働者のキャリア中期以降の転機と、その後の変化のプロセスを探索するために、20名の知識労働者に対するインタビュー調査を行った。同時に、インタビュー対象者の若年、壮年期のキャリアの特徴についてもインタビューを行った。IT技術者、各種のコンサルタント、金融・保険の専門職、その他の企画職などが対象であった。 知識労働者のキャリアの転機には、彼(彼女)らの強さに由来するもの(高い自律性ゆえの組織との葛藤や、成功の後での閉塞感、変化への渇望等)と、彼(彼女)らの脆さに由来するもの(知識やスキルの基盤の弱さや仕事の価値や重要性,やりがいの低下等)、環境要因等によるもの(事業の縮小、消滅や予期せぬ昇進等)があるものがわかった。同時にそれらの転機は若年期の仕事経験や学習と密接に関係していることもわかった。先進的な知識の学習や、新規事業開発を通じて行われる不確実性と試行錯誤を伴う学習などが豊富な知識労働者は、強さに由来する転機に直面することが多く、そうした学習が不足しており、環境に合わせたランダムな学習に偏っているような知識労働者は、脆さに由来する転機に直面することが多い。そして、前者に該当する知識労働者はキャリアの後期においても転職や独立が可能である一方、後者にあたる知識労働者は、シニア期においてキャリアが停滞しやすいこともわかっている。 平成29年度の研究成果は、平成30年4月の日本経営学会関西部会において発表することが決まっている。また学会誌に論文として投稿している(現在査読中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文の公表がやや遅れているが、発表の期日が確定し、また論文の査読も進行しているので、おおむね予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
三年目については、若年期の経験学習と、キャリア中期以降の専門性や学習意欲、社内外での効力感との関連性を検証するために、またキャリアの選択に関わるインセンティブを検証するためにアンケート調査を行う。500~1000サンプル程度の収集を目標に国内の企業に調査用紙を配布し、回収した結果に対して統計分析を行う。
平成30年度の研究成果は、日本労務学会、あるいは日本経営学会の学会誌に論文として投稿する予定である。
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[Book] 人的資源管理2018
Author(s)
原田順子・平野光俊編著
Total Pages
283
Publisher
放送大学教育振興会
ISBN
ISBN978-4-595-14104-1