2016 Fiscal Year Research-status Report
海外事業の価値連鎖と海外子会社の立地選択:内部集積と外部集積の影響
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16K03910
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
林 正 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (50434270)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経営学 / 国際経営 / 立地選択 / 知識移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、海外市場における情報収集、販売、生産、研究開発、地域統括などの各活動の参入順序と立地選択のパターンに関する定量分析、活動ごとの立地選択の文献サーベイ、そして海外子会社の知識移転の促進要因に関するメタ分析を行った。まず、2009年までの日本製造業企業の海外子会社を対象として、各活動の海外市場への参入順序をDavidson(1980)の参入頻度指標を用いて確認したところ、国際化のプロセスモデルが想定する参入順序と類似するパターンが見られた。特に、地域統括会社は販売・卸や生産活動の後に参入する傾向を示していた。今後、地域統括会社の設立前後の地域における事業の規模や多角化の変化を検証することで、日本製造業企業の地域統括会社の統合型活動や企業家型活動といった役割に対する理解を深めることができると考えられる。次に、多国籍企業における知識移転の促進要因に関するメタ分析では、海外子会社の知識移転であるインフローとアウトフローの促進要因に注目し、海外子会社、海外子会社のネットワーク、移転する知識の属性の各変数と知識移転を示す変数間の相関係数とサンプル数、信頼係数を明記していた2015年までの論文を文献データベースとしてまとめた。研究ごとのサンプル数および信頼係数で調整した相関係数を用いた分析の結果、いずれの変数においても個別研究ごとの高度の異質性が見られ、モデレーターの存在が認められた。こうした結果にもとづき、今後の多国籍企業の知識移転研究における有望な研究の方向性について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、海外子会社の活動別の参入順序に関する予備的な分析を行い、海外直接投資の立地選択研究と知識移転研究の文献データベースの構築を進めた。今後はこれらの文献データを用いて研究資料としてまとめ、仮説の提示と検証を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、各活動の海外参入順序の予備的分析から得られた知見を踏まえて、仮説検証を目的とする定量分析を行い、その研究成果を論文および学会での発表を通じて公表することを計画している。また、これまで作成を進めた知識移転と立地選択研究の文献データベースをさらに補強し、研究資料としてまとめる。
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Research Products
(1 results)