2017 Fiscal Year Research-status Report
製品アーキテクチャと産業構造の変化に関する定量的実証研究
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16K03922
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Research Institution | Ritsumeikan Asia Pacific University |
Principal Investigator |
中田 行彦 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 客員教授 (90389560)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 製品アーキテクチャ / モジュール化 / すり合わせ / 産業構造 / 自動車産業 / 有機EL / 電気自動車 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)液晶の製品アーキテクチャの変化に関する定量的実証分析 (中田行彦):液晶の対抗製品である有機ELの市場が急激に立ち上がった。このため、有機ELについて、2017年8月に韓国釜山でのディスプレイ国際会議(IMID 2017)で、テレビ用世界1位のLG Display社長、スマホ用世界1位のサムスン電子副社長にインタビュー調査した。また、北京で2017年10月に行われたディスプレイ国際会議で、液晶に爆投資する中国最大手BOEの董事長から戦略を調査した。更に、DSM作成のため、スマホ分解データの整理を進めると共に、スマホの分解準備を行った。なお、研究成果として、アジアにおける液晶事業を、アジア経営学会で招待講演を行った。また、日本MOT学会の研究会と年次発表会、経営情報学会等で発表した。
2)自動車の製品アーキテクチャの変化に関する定量的実証分析(中田行彦、柴田友厚):自動車に電気自動車(EV)シフトの大きな変化が起こった。このため、電気自動車に注力して、モジュール化戦略を分析した。日本でEVで先行する日産自動車のモジュール化戦略と電動化戦略について、キーマンにインタビュー調査すると共に、研究会を開催し分析を発展させた。また、2017年11月の東京モーターショー2017、2018年1月のオートモーティブワールド展、2018年2月の日経EVセミナー等に参加し調査した。なお、製品アーキテクチャの破壊的イノベーションへの影響に関する研究成果を、米国のPICMET、オーストラリアのISPIMの国際会議で発表した。また、電気自動車のモジュール化戦略へのインパクトを、研究・イノベーション学会および日本MOT学会の年次発表会で発表した。
3)製品アーキテクチャと産業構造の関係分析と提言(中田行彦)上記の事例研究を踏まえ、製品アーキテクチャと産業構造の関係を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、定量分析の準備段階であり、DSMの作成等で遅れている研究項目もあるが、全体としてはおおむね計画どおりに進んでいる 1)液晶の製品アーキテクチャの変化に関する定量的実証分析 (中田行彦):韓国サムスンの有機エレクトロルミネッセンス(EL)を用いたスマホiPhoneXを、アップル社が2017年9月22日に発売した。また、韓国LGが有機ELテレビを投入し市場を拡大してきた。LGの有機ELパネルを用い、ソニー、パナソニックが有機ELテレビを2018年6月に発売開始した。この様に、有機ELの市場が急激に立ち上がってきた。このため、当初計画を変更し、有機ELの調査に注力し、釜山で行われたIMID 2017に参加し調査した。有機ELの調査に注力したため、液晶のDSM作成の準備に遅れが生じている。 2)自動車の製品アーキテクチャの変化に関する定量的実証分析(中田行彦、柴田友厚):自動車にも電気自動車(EV)シフトという大きな変化が起こった。このため、電気自動車の視点から、モジュール化戦略を分析することとした。日産自動車のモジュール化戦略および電動化戦略について、キーマンにインタビュー調査すると共に、研究会を開催し分析を発展させた。その結果、同じ機種でガソリン車と電気自動車があり、公開されているパーツリストから、用いられている部品やモジュールが比較できるというアプローチが明らかになった。今までに自動車のDSMが作成されたことはなかったが、DSMへつながるアプローチが明らかになったことは、研究進捗におおきなプラスである。このことから、全体としては当初の計画どおりに進んでいる。 3)製品アーキテクチャと産業構造の関係分析と提言(中田行彦):上記の事例研究を踏まえ、製品アーキテクチャと産業構造の関係を検討しており、当初の計画どおりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画した研究計画・方法の基本コンセプトを基に、平成29年度の研究実施結果を踏まえ、前年度と同じく、下記の3つのサブテーマに対して定量的実証研究を進める。 1)液晶の製品アーキテクチャの変化に関する定量的実証分析(中田行彦):有機ELの急激な市場立ち上がりにより、当初計画を変更し、有機ELの調査に注力したため、液晶のDSM作成の準備に遅れが生じた。このため、今後は、有機ELの調査は継続するが、、準備しているスマホ分解データの整理とスマホの分解準備を行い、DSM作成し当初計画を達成する。 2)自動車の製品アーキテクチャの変化に関する定量的実証分析(中田行産、柴田友厚):日産自動車のモジュール化戦略および電動化戦略について、調査・分析が進んだ。その結果、同じ機種でガソリン車と電気自動車があり、公開されているパーツリストから、用いられている部品やモジュールが比較できるというアプローチが明らかになった。今後、このアプローチに沿って、従来分析されていなかった、ガソリン車と電気自動車の部品・モジュールの比較を分析していく。このアプローチを発展させることにより、DSMの作成を試みる。 3)製品アーキテクチャと産業構造の関係分析と提言(中田行彦):平成30年度は、これらの製品アーキテクチャの変化と産業構造の変化の関係を分析し、モジュール化と産業構造の関係を明確化すると共に、変化に対応できる戦略を提言する。
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Causes of Carryover |
(理由)次年度使用金額(B-A)が、14,650円となった。ほぼ計画どおり研究を遂行することができたが、学内の年度末処理の時期の関係で、次年度に回ったものが発生した。
(使用計画)残った金額は、調査等の旅費に充てる計画とする。
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Research Products
(8 results)