2016 Fiscal Year Research-status Report
消費概念の拡張に伴う顧客の消費プロセスにおけるマーケティングの研究
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16K03933
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
村松 潤一 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (30182132)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 消費プロセス / 消費概念の拡張 / 文脈マネジメント / 顧客との共同関与 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「消費概念の拡張に関する調査研究」を実施した。 1.具体的内容。まず、文献レビューにより①「消費概念の拡張」概念の精緻化を図り、アンケート調査により②消費に対する顧客認知を解明し、理論的考察により③抽出された要素とマーケティングとの関係を明らかにした。それによれば、①では、消費概念の拡張は水平的・垂直的拡張の2方向に見出され、②では、モノ、サービシィーズ、ヒト、情報、システム、インフラ等の影響要素が認められ、それらが文脈価値における「文脈」として理解されることとなり、③では、①と②の結果を踏まえ、マーケティング行為という視点から考察した結果、水平的拡張は「文脈」と深く関わり、それが新たなマネジメントとして「文脈マネジメント」というマーケティング手段を生むこと、また、モノ、サービシィーズに対しては、「顧客との共同関与」という新たなマーケティング行為の存在が理論的に導出された。 2.意義と重要性。「文脈マネジメント」及び「顧客との共同関与」は、市場をゴールとした伝統的マーケティングには見られない新たなマーケティング手段・行為に繋がるものであり、それらが見出されたことは、購買後の顧客の消費プロセスにおけるマーケティング理論構築にとって意義深いものといえる。さらに、後者の共同関与は、モノ或いはサービシィーズの共同選択と共同開発の二つが考えられ、そのためのマーケティング行為は、企業システムそのものの態様に深く関わることを意味しており、ここにおいても、伝統的マーケティングを超える新たなマーケティング領域を認めることができ、マーケティング研究の進展にとって重要性の高い研究成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献レビューに多くの時間が掛かり、アンケート調査、理論的考察への取り組みがやや遅れたが、本年度中に実施すべき事項については、すべて完了するとともに、確かな研究成果も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(平成29年度)につても、当初の計画通り研究を進めていく。すなわち、製造業(B2B、B2C)、流通業へのインタビュー調査を実施し、その結果を分析する。とりわけ、初年度に示された「文脈マネジメント」、「顧客との共同関与」という視点に留意し、それらを研究成果に結びつけたいと考えている。 最終年度(平成30年度)は、まず、サービス業に対して同様のインタビュー調査を実施する、そして、研究の総まとめとして、新しいマーケティング(購買後の消費プロセスに入り込み、顧客と価値共創するマーケティング)を浮き彫りにする。
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Causes of Carryover |
文献レビューに手間取り、アンケート調査実施期間に入り込んだため、許容範囲内ではあるは、当初よりやや小規模のアンケート調査を実施し、そのため予算の使用額が少なくなり、次年度使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、インタビュー調査の件数を増やし、繰り越した分を旅費として使用する計画である。
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Research Products
(6 results)