2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03940
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小野 晃典 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (20296742)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カスタマイゼーション / 企業推奨品 / 中間推奨システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本事業にとって初年度にあたる本年度においては、本事業のテーマである「カスタマイゼーション」の批判的検討に際して、計画通り、資料収集・情報収集を実施した。資料収集・情報収集の実施に際しては、学会参加を通じて、カスタマイゼーションに関するマーケティング研究を展開している国内外の希少な研究者たちとの密なる研究交流を実施した。 また、それにとどまらず、予備的な論文を執筆して、世に問うことによってフィードバックを得て、今後の残り2年間の方向づけを模索した。とりわけ成果を挙げたのは、「カスタマイゼーション」と共に副次的なキーワードとして挙げられた「企業推奨」の方法に関する新戦略についてである。従来の企業推奨は、ウェブ上のカスタマイゼーションを開始する画面において、推奨品が幾つか並べられており、その不満な点を改善する形で顧客にカスタム品を作らせる仕組みであったが、カスタム品を作ろうとする顧客のアクションの1つひとつを解析して、顧客ニーズを探った上で、企業推奨品を表示するというよりよい仕組みを模索した。 本事業にとって一年目の取り組みではあるが、上記の新しい仕組みについての学界での反応を得て、二年目以降に役立てるために、前事業の取組みの成果に追加的な取り組みを施す形で、この新しい仕組みに関する概念的研究について、学術論文を1本執筆し、海外査読誌に掲載することに成功した。 さらに、この仕組みに対する消費者反応に関する実験を実施し、実験結果を国内外の学会において学会報告を行った。その結果、大きな反響をもって迎えられ、また、二年目、三年目につながるような改善点を抽出することにも成功した。 これらの営みを通じて、本年度は、本事業を予想外のレベルにまで推進することに成功したと言うことができるのではないかと自己評価したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の項で報告させていただいたとおり、一年目の目標であった資料収集・情報収集のフェーズを超えて、概念的研究を高度なレベルで完了させて査読誌掲載を実現したのにとどまらず、予備的なものではあるが小規模な実験を実施して実証的論文を執筆し、それを国内外学会において報告するにまでまとめることができたため、「当初の計画以上に進展している」と自己評価しても差し支えないと考えたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本事業は、初年度から既に一定以上の成果を挙げたわけであるが、初年度の成果は、社会的評価を確認するために、概念枠組の構築、および、実験設計を急いで論文を執筆した点において、さらなる余地を残していると考えられる。より具体的には、考えられうる複数の企業推奨システムの全てを考慮に入れたわけではなかった。また、第三者推奨システムを考慮に入れなかった。また、推奨システムの違いが影響を及ぼす変数について、満足度のみしか考慮に入れなかった。これらの諸点について、今年度に独自に開発したモデルを拡張することによって、より豊かな研究成果を挙げられるように、二年目、三年目も、精力的に研究を推進していきたい。
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Causes of Carryover |
「次年度使用額」となった62,116円は、書籍購入代金であり、海外希少本であるため、すでに納品を受けているが、請求書発行が年度をまたいでしまったために生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由で「次年度使用額」が生じてしまったが、本報告書を執筆している現時点において既に使用済である。
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