2018 Fiscal Year Annual Research Report
Perceived complexity of product customization and recommendation
Project/Area Number |
16K03940
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小野 晃典 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (20296742)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マスカスタマイゼーション / パーソナライゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、昨今の革新的技術を応用して、顧客一人ひとりの求めに応じてカスタマイズした製品を低価格で大量に供給するという「マス・カスタマイゼーション」を巡る活動や現象の源泉を探究するという応募者の全体的研究構想の中で、とりわけ、消費者間に存するカスタマイズ製品の購買経験の大きな差異に注目することによって、カスタマイズ製品購買に直面した消費者の意思決定過程上の課題と、カスタマイズ製品供給システムの開発を巡る企業課題に関して、新しいマス・カスタマイゼーション研究を展開することを目的として展開された。 経験値の高い消費者が、選択可能な部品点数を増やしてカスタマイゼーションの自由度を高めたシステムを希望するのに対して、逆に、経験値の低い消費者は、無限の部品の組み合わせから構成されるカスタム製品を注文できずに立ち止まりがちである。後者のような問題が存在するために、カスタマイゼーションは、批判的検討の対象となることさえあったが、近年、企業による製品推奨によって、それを解消しようという動きがある。消費者による自由な部品の組み合わせが特長であるシステムを、企業側から組み合わせ済の製品を提示するという逆説的な行動によって救済しようというのである。 唯一の先行研究は、どんな組み合わせであっても推奨ありのほうが、推奨なしよりカスタマイゼーションに対する顧客満足は高いと主張した。それに対して、本研究は、消費者が部品を組み合わせて製品を作り上げていくカスタマイゼーションの過程の各段階において、次々とよりよい推奨品を更新して提示するシステムが、より高い顧客満足をもたらすという帰結を導出するモデルを構築した。構築したモデルに対する実証分析は首尾よく成功した。 さらに、予備調査のための定性分析と、同一データを用いて行った別の定量分析についても、論文として仕上げるに至った。
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