2016 Fiscal Year Research-status Report
消費者行動研究の集計化に関する考察-消費者主導の市場形成に着目して-
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16K03943
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
田嶋 規雄 拓殖大学, 商学部, 教授 (20328008)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 消費者行動研究 / マーケティング / 集計化 / 市場動態論 / 消費者類型論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は主として実際のマーケターへのヒアリングおよび調査を通じたマクロ的消費者行動研究の有用性の確認と、その論証に充てられた。特に後者の研究実績としては、「消費者行動研究の集計化における理論的および実務的諸問題」(KMS研究会監修・堀越比呂志・松尾洋治編著『マーケティング理論の焦点』中央経済社)というタイトルの下、書籍として出版し、消費者行動研究の集計化モデルの提示を行った。具体的には、過去の消費者行動研究を集計水準という視点から整理するのとともに、中でもミクロからマクロ、すなわち、集計水準の低い個別消費者行動分析から消費者類型論を経て、集計水準の高い市場動態論までを体系的に論じていると考えられる研究に注目し、それらの集計化の方法について考察を行った。識別された集計化のパターンは二種類あり、類型化された消費者群を変容するものとして捉える「市場変容モデル」、そして類型化された消費者群を経時的に連結されるものとして捉える「市場形成モデル」である。一方、企業等へのヒアリング調査については、マンガ/アニメ関連のイベントを視察し、主催者などへのインタビューの中から、上記の論文で示した個別消費者行動分析、消費者類型論、そして市場動態論の3つの視点から各イベントを分析した。市場動態論は組織の戦略課題の抽出に対応し、消費者類型論はターゲット設定に対応し、個別消費者分析は具体的なマーケティング・ミックスの策定に対応する。このような対応関係を記述した仮説的なモデルを提示することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は事例研究を優先させ、まずは現実の問題を整理することに重点を置く予定であったが、事例研究と並行して、2016年度に本研究の理論的なセクションを論文として出版できたことで、仮説的モデルを意識しながら事例を分析できるようになったため。その結果として、事例の選別も容易になり、事例の整理も体系立ってでき、研究の効率が上がった。また、仮説的モデルができたことで、他の研究プロジェクトとの近接性も確認でき、そこで得られた示唆を本研究に組み込むことで飛躍的に研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度は、5月末に開催される日本商業学会全国大会にて「消費者行動研究における集計化の問題とマーケティング」というタイトルで学会報告する予定である。これに先立ち慶應マーケティング研究会での報告を行い、そして学会での報告で受けたフィードバックを基に理論的な部分を中心に精緻化していく。それと同時に企業のへのインタビューを実施し、事例研究からの知見も充実させていく予定である。さらに、学会報告の内容をマンガ/アニメ関連のイベントのマーケティングに応用した仮説的モデルを、8月末にアテネで開催される「13th Conference of the European Sociological Association 2017」にて報告する予定である。
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Causes of Carryover |
当初英文構成比を7万円程度と見積もっていたが、実際にはそれほどかからなかったことで4万円程度の残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は海外での学会発表が決定したこともあり、残額分を英文校正費に追加する予定である。
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