2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03947
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伴 正隆 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (50507754)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域ブランド / 競争構造 / ベイジアンモデリング / 因子分析 / 離散選択モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度インターネットアンケート調査によって収集した地域ブランドデータには、ひとりの対象者から複数の競争構造モデリングに活用できるデータを収集している。とりわけ本年度は地域ブランドイメージ、地域間類似性、回答者居住地データ、模擬選択による地域ブランド選択行動の4データを統合し、地域ブランド競争構造モデルを開発した。 モデリングにおいては様々な可能性を考察したが、まずは地域ブランドイメージのデータのみを使用してベイズ因子分析によってモデルを構築し、その後、因子得点に地域ブランド間類似性による階層構造をもつモデルへと拡張し、モデルフィットを確認しながらモデリングの可能性を探った。また、地域ブランドの模擬選択データを被説明変数とし、この類似性による階層構造をもつベイジアン因子分析モデルから得た因子得点の予測値と、回答者居住地から地域ブランドまでの距離を説明変数として、階層ベイズプロビットモデルによってアンケートデータ回答者の地域選択行動をモデル化した。これらはすべてベイジアンモデリングであり、マルコフ連鎖モンテカルロ法によって推定している。 実証分析では、地域ブランド間類似性データを含めないモデルと、含んだモデルとのモデル比較を行い、後者のモデルが周辺対数尤度基準でわずかに優れたモデルフィットを示す結果となり、地域イメージでは補完しきれなかった情報を類似性データによって補うことができたのではないかと考えられる。また、階層ベイズプロビットモデルのモデル推定から、各アンケート回答者の地域ブランド模擬選択に関する予測分布を得ることができ、回答者ごとに何処の地域を選択するかが確率として得られ、個人ごとに競争関係を推定することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画にあるとおり、複数の競合データをベイジアンモデリングによって統合した競争構造モデルを構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
次なる研究目標は開発したモデルをより洗練されたものにすることである。地域ブランドは立地を変えることが出来ないため、イメージ上の競合と選好を示すモデルで競合すると判断された地域同士でも、距離が離れていることで競合になりえないことが考えられる。今回のモデリングでは回答者自身の居住地情報を利用することで、その居住地から各地域ブランドへの来訪行動を描くことはできたが、回答の無い地域での競争構造は不明である。そこで、空間統計学を援用し回答者間の空間的相関をモデルに組み込むことで欠損値の問題を克服することを考えている。
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