2016 Fiscal Year Research-status Report
オウンドメディアによるコミュニケーション効果とリレーションシップの形成
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16K03949
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
竹内 淑恵 法政大学, 経営学部, 教授 (40366828)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コミュニケーション効果 / リレーションシップ / エンゲージメント / 同一化 / Facebookページ |
Outline of Annual Research Achievements |
ソーシャルメディアの出現によって、企業は積極的にブランド・コミュニティを運営して、対消費者とのコミュニケーションを充実させ、リレーションシップ形成に注力するようになった。そこで本研究では、ブランド・コミュニティの1つであるFacebook(以下、FBと略す)ページに着目し、FBページに対する同一化、エンゲージメントが媒介変数となって、信頼や相互作用、コミットメントに影響を及ぼすという仮定の下、FBページにおけるリレーションシップ形成について検討する。研究初年度として予備調査(FBアカウント所有の男女20~59歳、計800名)を実施し、データを分析した結果、以下の知見が得られた。 ・FBページへの満足度は感情的態度、個人的ベネフィット、社会的ベネフィットから正の影響がある。しかしながら、認知的態度は影響を及ぼしていない。本研究では航空会社2社のFBページを対象としたために、認知的態度が有意に満足に影響しなかった可能性が考えられる。異なる製品カテゴリーでの検証によって、この点については精査したい。 ・アイデンティフィケーションは、認知的同一化、価値・目的の共有による同一化の2次元を仮定した。認知的同一化は社会的ベネフィット、満足から、また、価値・目的の共有による同一化は社会的ベネフィット、満足から正の影響がある。さらに、認知的同一化から価値・目的の共有による同一化への関係も見出された。 ・エンゲージメントに対する認知的同一化の影響は小さく、価値・目的の共有による同一化の影響は大きい。エンゲージメントは、信頼や相互作用、継続・推奨意図に対して強く影響を及ぼしている。 ・信頼からのコミットメント、継続・推奨意図への影響は小さい。一方、相互作用からのコミットメントへの影響は大きく、継続・推奨意図に対しても直接影響を及ぼしている。また、コミットメントから継続・推奨意図への影響は比較的大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度として、先行研究のレビューとブランド・コミュニティの類型化を計画していた。「コミットメント」や「エンゲージメント」等に関する先行研究を追加的にレビューするという1つ目の目的は達成した。先行研究の成果に依拠して、FBページを含め、ブランド・コミュニティにおけるコミュニケーション効果の測定尺度が設定できた。一方、ブランド・コミュニティの類型化についてはブランド数がかなり多く、カテゴリーも多岐にわたるため、困難だと判断し、公表されているランキング等を活用して、今年度の分析対象を航空会社2社に絞り、予備調査を実施した。 分析結果は、研究実績の概要で述べた通りであり、一定の知見が得られたとともに、次年度に向けて課題も明らかになった。したがって、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、ブランド・コミュニティのいかなるコンテンツに対して、どのような顧客がロイヤルティ度を高めるのか、また、どのようなコミュニケーションを行うことによって、顧客のコミットメントが高まり、長期的なリレーションシップが形成されるのかを解明することである。そこで研究2年目の本年度には、以下の2点を研究推進の方策としたい。 (1)2016年度に実施した調査に対する追加的分析:調査対象とした航空会社2社へ協力要請を行い、FBページ運営における現状、問題点や課題についてヒアリングを行う。あわせて、FBページ上のコメントをデータ化し、ネットワーク分析等を用いて検証する。 (2)異なる製品カテゴリーのFBページを用いた調査の実施:研究概要の実績で述べた通り、2016年度の調査において、認知的態度の影響が有意ではなかった。この点を明らかにするためにも、他の製品カテゴリーのFBページを対象としてデータを収集し、分析を行う。
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