2017 Fiscal Year Research-status Report
おもてなしの価値共創視点からの研究:その源流と現代型への進化の解明
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16K03968
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 善信 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (00140476)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | C2C / B2B / 社内調整 / 禅仏教 / 武道 / 聖地巡礼 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度においては、「おもてなし」に関する4件の研究を発表した。 1つ目は、アニメの「聖地巡礼」を巡るアニメオタクと地元の住人による交流の研究である。これは「おもてなし」のC2Cの研究に当たる。さらに、聖地巡礼をベースにした地域創生の可能性についても言及した。 2つめの研究は、B2B2C企業による中間顧客への経営支援サービスに関するもので、5社のケーススタディに基づき、経営支援サービスの内容の理論化を行った。この研究は「おもてなし」のB2B面での展開に関する研究になる。 3つ目の研究は、2018年7月に東京で行われるグローバル・マーケティング・カンファレンスへの発表論文のアブストラクトの提出である。アブストラクトは1月に提出し、セッション・エディターの査読審査を通過した。3つ目の研究の内容は、日本での「おもてなし」の発展の精神的な支柱になっているのは、鈴木正三の説く「仕事即仏行」という考え方、茶の湯の一座建立や賓主互換という考え方、そして茶道や武道などに示される型(スキルの向上のみならず、精神的な人格の向上を促進する)の文化に求めたものである。「おもてなし」を総合的に把握するための意義深い研究であると言える。 4つめの研究は、前年に行った「おもてなし」の日本型営業活動における展開の研究の続編である。この研究においては、日本の営業担当者が顧客企業とのパイプ役として社内調整やさらに上流の企業との調整を行うことが可能となる根源的な理由を、日本企業の組織構造の特徴としての「スキマ型組織」あるいは「O型組織」の概念に求めた。また、この研究からは、顧客企業とのパイプ役を演ずるのは営業担当者ばかりではなく商品企画担当者もそうであるいう重要な事実が発見された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で想定した以上に「おもてなし」に関する個々のテーマに関して研究の成果が上がっている。例えば、「おもてなしの起源」に関する研究、「おもてなし」のB2B,B2CおよびC2Cに関する研究がそうである。したがって、2018年度は「おもてなし」に関する新規のテーマに取り組むよりも、これまでの成果を総合化・統合化することに集中する。 2017年4月より研究代表者が所属する組織の研究科長に就任したが、前年度の経験から効率的に業務を遂行して研究への時間を確保することが可能であることが分かった。2018年度は、前年度の業務処理方法をさらに向上させ、研究時間を確保したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は科学研究費助成事業の最終年となるため、「おもてなし」研究の成果を総合化・体系化するための研究に努める。引き続き、所属組織のトップの役職である研究科長の立場を勤めることになるが、前年度以上に効率的に業務を遂行することによって研究のための時間の確保し、研究成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度年度使用額が生じた理由は研究代表者の国際学会への出席がかなわなかったためである。繰越額は2018年度が最終年度に当たるため、年度中に研究成果発表会を行い、研究協力者にも登壇してもらう費用に充てたい。
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Research Products
(7 results)