2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03983
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹島 貞治 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (50312533)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多欄式財務諸表 / 事象理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、多欄式財務諸表に関する先行研究を貸借対照表系統と損益計算書系統に分類し、その目的と方法を明らかにした。 また、多欄式財務諸表の基礎をなす会計事象の分類カテゴリーに関して、Johnson and Storey[1982]において時価データを原価データと区別する理論的枠組みが提案されていたことを発見した。その結果、時価データと原価データはそれぞれ価値変動と市場取引を測定したものであり、それらは可逆的事象と不可逆的事象のカテゴリーに分類されるという知見を得た。この研究成果については、雑誌『会計』2016年7月号に発表した。この論文では、可逆的事象と不可逆的事象を区別することは重要であると指摘し、それらのデータを区別せずに報告している現行財務諸表の問題点を指摘した。その上で、時価データと原価データを区別して利用者に報告する方法として、(ア)損益計算書において区別する、(イ)貸借対照表において区別する、(ウ)損益計算書と貸借対照表において区別する、という3つの選択肢を提示した。 さらに、原価によって測定される不可逆的事象には様々な種類のもの(収入・支出、掛収入・掛支出、資産負債の獲得・費消)があること、それらの事象は会計測定の方法の違い(キャッシュフロー・将来キャッシュフロー・市場価値・配分)に基づいてさらに分類可能であることを指摘し、Sorter and Ingberman[1987]; Sorter et al.[1990]をその先行研究として位置づけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、事象理論に基づく多欄式財務諸表を構築するため、5つの課題を設定した。現在までに、第1課題として設定した多欄式財務諸表の先行研究のレビューをおおむね終了し、先行研究における多欄式財務諸表の目的と方法、課題を明らかにした。また、第2課題として設定した事象理論の要素に関する研究のうち、会計事象の分類カテゴリーの研究に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、G. H. Sorter教授との共同研究を継続することによって多欄式財務諸表のベースとなる事象理論の諸要素を発展し、それらの研究成果を国際学会で発表するとともに、Sorter教授との共同論文を国際誌へ投稿していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
著者献本により、予定していた図書の発注を取りやめたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに提出済みの研究費目明細書中の消耗品費に加算して使用する予定である。
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