2019 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of Multi-Column Financial Statements Based on the Events Theory
Project/Area Number |
16K03983
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
竹島 貞治 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (50312533)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多欄式財務諸表 / 事象理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Sorter(1969)において示されていた2欄式財務諸表のアイディアに光を当て、その構想をかえりみるとともに、Johnson and Storey(1982)およびWindal(1961)の所論を手がかりにして、Sorterの提案した2欄式財務諸表の構想を具体化する方法について検討を行った。その結果、Sorterは、貸借対照表と損益計算書はいずれも会計の記録対象である事象(フロー)を表しているという見解にもとづいて、環境変化(価格変動)とその他の会計事象を区別して考え、「異なる事象を別個に報告する」というロジックを示すことにより、貸借対照表と損益計算書の両方の欄を拡張することを提案していたことを明らかにした。また、Johnson and Storey(1982)およびWindal(1961)において示された不可逆性(永続性)と可逆性(一時性)の概念は、2欄式財務諸表の理論的根拠になるとともに、価格変動のように可逆的・一時的な性質を有する会計事象を記録するときに洗替法を採用する根拠になるということを明らかにし、市場性のある有価証券の価格変動の例を用いて2欄式財務諸表のモデルを提示した。本研究成果については、『會計』第196巻第1号において発表した。 また、本研究で示した方法は有価証券に限らず、棚卸資産や固定資産、あるいは負債についても、その変動が一時的・可逆的と判断されるものを含んでいる場合には適用可能であるということを示すとともに、2欄式財務諸表を実際にどの項目に対して適用することが適当かを判断するにあたっては、利用者の情報ニーズと個々の事象の性質についてさらなる研究が必要であることを指摘した。 上記の研究成果については、アメリカ会計学会(AAA)、および国際会計史学会において発表し、有益なフィードバックを得た。
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