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2016 Fiscal Year Research-status Report

会計情報システムの機能に関する歴史的研究

Research Project

Project/Area Number 16K03987
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

清水 泰洋  神戸大学, 経営学研究科, 教授 (80324903)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 津村 怜花  高松大学, 経営学部, 准教授 (90582940)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywords会計史 / 複式簿記 / 帳簿組織 / 伝票
Outline of Annual Research Achievements

本研究は,会計記録を広く情報システムとして位置づけ,その果たした役割を歴史から探索するものである。会計記録システムは,会計と人のインターフェイスの起点であり,すべての会計情報の基礎である。現在受容されている会計記録システムは,社会的・文化的側面を反映するものとなる。会計記録がいかに形成され,そしていかに常識として組み込まれてきたかを探求することを目的としている。
本年度は,日本的な会計記録システムの一つである伝票システム,あるいは伝票会計について研究を進めた。伝票は,明治初期から銀行簿記を中心として用いられ,現在に至るまで利用の続いている,日本に根付いた記録である。さらに,多くの会計人にとって,すべての取引の起点は伝票であるという認識を持たれているように,日本において伝票は会計システムの中で欠くことのできないものであると考えられている。
刊行された論文においては,伝票が単なる会計データの伝達手段から,帳簿組織の一部まで変化する過程を検討した。伝票制度の発展を促した要因として,銀行の他に昭和恐慌期への対応として行われた産業合理化運動があげられ,伝票の活用は大企業よりもむしろ中小企業を対象として社会的に推進されてきたことを示した。また,記帳省略化手段としての伝票は,海外で製本簿の制約を克服するために考案されたカード式会計,ルーズリーフ式会計などとは,その発展の過程が異なっており,伝票が日本に固有の背景を元に展開してきたことを示した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

伝票会計についての研究が予定通り論文として刊行できたため。また,伝票会計については国際比較会計史研究を指向しており,そのための準備も進んでいる。加えて,会計記録システムの中で,記録者の知識・経験の不足に起因する会計記録についても研究を進行中であり,29年度に一定の成果を出すことを目指して研究を進めている。
他方,研究計画の中で言及していた日本毛織の会計資料に関する整理と分析は,十全に進展しているとは言いがたい。そのため,「おおむね順調に進展している」と評価する。

Strategy for Future Research Activity

28年度に行った伝票会計システムについて,研究をさらに進展させる。特に,帳簿に記入を行うための証憑書類であった伝票が,帳簿そのものに代替していく過程を注目して研究を行う予定である。帳簿なし簿記法は,産業合理化運動の中で普及が推進されようとしていたことはすでに研究で示したが,推進されるためにはそれがすでに開発され,実際に利用されていることが必要である。会計記録,特に元帳から製本簿が排除されるためには,伝票そのものにも革新が必要であり,革新がいつ,いかなる過程でもたらされたかを明らかにする。また,このような伝票の利用のされ方は日本特有のものであると考えられ,記帳省略化手段の国際比較を進展させ,国際学会にて発表の準備を進める。
また,会計記録については,媒体だけでなく,記録のされ方についても着目するべきところがある。従来より会計史研究において,取引の完全複記は時間をかけて確立した実務であり,多くの企業では完遂されていなかったことが示されてきた。19世紀後半以降,複式簿記は一定規模以上の企業の会計記録の前提ではあるものの,完全複記は容易ではない。その際に,記録者の知識不足のために便宜上複記をなすために用いられる勘定が見られる場合がある。会計記録の役割として,このような便宜上もうけられた勘定について検討を進める予定である。
日本毛織の会計資料の整理・分析については,資料の利用に関する条件が整い次第進展させる予定である。

Causes of Carryover

専門知識の教授のために招聘した研究者の旅費が,当初計画していたよりも安価であったこと,また,日本毛織の会計資料の整理を科研費を用いずに行われたことによる。

Expenditure Plan for Carryover Budget

今年度も専門知識の教授のために研究者の招聘を予定しており,そのために使用を行う。また,史料の整理に対して情報機器の購入を予定している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 日本的会計記録制度としての伝票会計システムの発生と展開2016

    • Author(s)
      津村怜花,清水泰洋
    • Journal Title

      国民経済雑誌

      Volume: 214 Pages: 59-74

    • Open Access

URL: 

Published: 2018-01-16  

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