2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of information effects and corporate behavior impacts of disclosure of information related to the corporate governance code
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16K03992
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中條 祐介 横浜市立大学, 国際商学部, 教授 (40244503)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | コーポレートガバナンス / ガバナンス支援機能 / Non-GAAP指標 / 経営者報酬 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はコーポレートガバナンス・コードの制定により強化された開示事項に焦点を当て、企業行動の変化をとらえることに注力した。その取り組みの第1は、「ガバナンス改革と財務会計・報告の新たな役割の模索」であり、第2は、「Non-GAAP指標の浸透,改善,そして新たな課題」について考察した。 前者については、現行財務会計・報告の主流である情報提供機能を,ガバナンスの状態を確認・検証しうる情報システム(これをガバナンス支援機能と呼ぶ)へと拡張していく必要があるとの結論に至った。併せて,ガバナンス・メカニズムへのNon-GAAP指標の浸透についても指摘し、GAAP利益を上回るNon-GAAP利益を報告している企業の役員報酬は,そうでない企業に比べて多額となっていることを明らかにした。この研究成果については、国際会計研究学会関東部会(2019年11月9日、於明海大学)での統一論題で報告するとともに、同学会の年報(2019年度第1・2合併号)に掲載が決定している。 後者については、Non-GAAP指標の浸透について、米国,EU,そして日本の特徴的な要因の抽出を試みた。米国では,現行GAAPが新しいビジネスモデルに適合できていないという企業経営者の感覚と複雑化した会計基準によるものであると考察した。また,EUでは,相対的に自由度の高いIFRSによる報告制度への転換によるところが大きいと考察した。そして日本においては,米国で生起した要素とEUで生起した要素の2つが,特にIFRS適用企業においては混在しているととらえた。さらに,これらに加えて利害調整機能という側面からもNon-GAAP指標が使用され始めているという点に日本のコンテクストの特徴を見出すことができると指摘した。なお、この研究成果は『会計研究の挑戦-理論と制度の「知」の融合-』(仮題)の1章としてとして9月刊行(中央経済社)予定である。
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