2023 Fiscal Year Annual Research Report
The influence of intraorganizational diversity and the enhancement of management attributes on the tax avoidance
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16K04006
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
大沼 宏 中央大学, 商学部, 教授 (00292079)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 税負担削減行動 / 監査リスク / 監査複雑性 / 利益の質 / 労働投資 / 経営者の自信過剰 / コーポレートガバナンス / 監査報酬 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績としては、2本の学会発表と1本の研究論文であった。 第1の研究報告の論題は、「日本の経済環境における利益の質による労働投資の効率性の向上 」である。第2の学会発表は、"Audit Fees, Tax Aggressiveness, and Tax Risk "である。 第Ⅰの研究報告は利益の質が労働投資の効率性に影響することを検証することを目的としていた。分析によって、利益の質は労働投資を積極的に推し進める効果を持つものの、日本の経済環境は先行研究で示された米国の状況に比べて、労働市場の流動性が低く、労働者の調整を行うことが難しいと考えられる。本研究の分析結果は、日本のデータにおいて利益の質の高い企業のほうが労働調整が行いやすく、労働投資の効率性が高いことが示された。 第2の学会発表では、税負担削減行動が監査報酬に及ぼす影響を分析した。当該研究は、税負担削減行動の進展によって高まる税務リスクに注目し、監査報酬との関連性について検証する。税務リスクが高まると、監査リスクが高まるため、監査複雑性が増し、監査報酬が高まるという仮説も検証する。分析の結果、税負担削減行動に積極的な企業は監査報酬が高まり、かつ税務リスクの高い企業も監査報酬が高まることを示す。 本年度発表した論文は、自信過剰な経営者が税負担削減行動を積極的に推し進めるかという命題の検証が主要なテーマだった。分析によって、自信過剰な経営者ほど税負担削減行動を推し進めることを明らかにしたものの、外部投資家による牽制が機能する企業ではガバナンスが機能するため、そうした経営者の行動に対する制約が働いていることも確認した。 いずれの成果も、本研究課題の主題である経営者属性と税負担削減行動との関連性を明確にすることに貢献していた。
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