2018 Fiscal Year Annual Research Report
The restructuring of taxable income calculation with diversification of corporate form and transformation of capital transaction concept
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16K04007
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤井 誠 日本大学, 商学部, 准教授 (80409044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古田 美保 甲南大学, 経営学部, 教授 (90368473)
古市 雄一朗 大原大学院大学, 会計研究科, 准教授 (40551065)
LI YAN 南山大学, 経営学部, 講師 (80803890)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 資本 / 純資産 / 株主資本 / 包括利益 / リサイクリング / 資本取引 / 自己株式 / 減資 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,資本維持概念として名目資本維持を前提として,資本および純資産に関する企業会計上の史的展開を整理し,そこでは単なる名称変更ではない,会計体系全体における資本あるいは純資産の定義および性格が変化してきていることが明らかとなった。 資本および純資産を決定することは,利益決定と表裏一体であり,ここにIFRSと日本基準との大きな相違があることが示された。さらに,自己株式および減資の場合の理論には問題が残されていることも明らかとなり,この点について,税務規定との比較研究を行った。 法人税法における資本の定義は会社法に依拠するものの,資本金等の額および利益積立金額について,詳細な規定を設けている。そこには,資本利益区分の原則のうち,資本取引損益取引区分の原則はもちろんのこと,資本剰余金(資本金等の額)と利益剰余金(利益積立金)を区分する思考が,制度会計のうち最も色濃く反映されている。これは,企業会計がある種の妥協のもとに成り立っているのとは対照的に,株主の課税関係までを考慮して制度設計する必要があるために,理論が厳格に運用されていることを窺わせる。 自己株式および減資については,企業会計と法人税法との相違が浮かび上がるにとどまらず,法人税法のおける問題点が明らかとなった。具体的には,資本金等の額と利益積立金額をどのように減少させるかという問題について,明確な回答を見出すに至っておらず,制度内における不整合を引き起こしている。 また,非営利組織の会計においては,営利組織とはまったく異質の資本概念が存在しており,しかも,様々な非営利組織の中でも統一がなされていない状況にあることが指摘される。しかし,これを安易に統一するのではなく,非営利組織の性質に即した資本のあり方を認めることの合理性を指摘することができる。
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