2017 Fiscal Year Research-status Report
マネジメント・アプローチの有効性に関する国際比較研究
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16K04009
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
中野 貴之 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (70287952)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | セグメント情報 / マネジメント・アプローチ / 国際会計基準 / IFRS / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
セグメント情報の作成基準は、現在、マネジメント・アプローチ(以下、MA)が世界標準となっている。MAは1990年代後半に米国において先駆的に導入された後、近年、IFRS(国際財務報告基準)および日本基準にも導入され、セグメント情報の会計基準の国際的コンバージェンスが完了した。ただし、MAが米国以外の環境において有効に機能しているかどうかは学術的に十分な検証を経ていない。本研究の目的は、IFRS適用国および日本において、MAが有効に機能しているかどうかを実証的に明らかにすることである。 本年度の主たる研究成果は、次の二点である。第一に、昨年度までに構築した国際財務データベースに基づいて、日本、米国、IFRS適用国(ドイツ、フランス、英国)におけるセグメント情報の実態を分析し、論文として公表した。対象国のうち、日本企業の多角化の程度が大きく、一方、最も多角化の程度が低いのは米国であることがわかった。先進主要諸国において、日本は最もセグメント情報の開示の必要性が大きい。 第二に、セグメンテーションに対する裁量行動について、日本企業の経営者を対象として分析し、学会発表を行った。MA導入後、経営者の裁量行動が縮小したことを裏づける証拠はほとんど得られず、むしろ拡大したことを裏づける証拠が一部得られた。MA導入後、セグメンテーションに対する裁量行動が変化したか否かについては、海外の研究においてもほとんど明らかにされておらず、独自性の大きい証拠を得たといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析に必要なデータベースの構築や文献サーベイは基本的に終了し、検証の段階に入っている。 現在までに達成した成果は次の二点である。第一に、日本、米国、IFRS適用国(ドイツ、フランス、英国)におけるセグメント情報の実態を分析が終了した。先進主要諸国において、日本は最も多角化の程度が大きいことがわかった。反対に、資本市場の規律が強い米国は最も多角化の程度が小さい。第二に、セグメンテーションに対する裁量行動について、日本企業を対象とした分析が終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記実態分析を通じて、各国において多角化の程度やセグメント情報の実態は相当異なることがわかった。情報の有用性、および、経営者の裁量行動に関する仮説を構築する作業では、実態分析の知見を考慮して進めていく。
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Causes of Carryover |
データベース構築における人件費の支払のため、前倒支払請求を行ったが、予想よりも少なかったことによって生じたものである。残額は、本来、次年度に属す予算であることから、予定どおり実施していく。
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