2016 Fiscal Year Research-status Report
介護サービス提供事業者横断的な会計情報・情報公開制度構築―日米豪比較の視点から-
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16K04011
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石津 寿惠 明治大学, 経営学部, 専任教授 (70337004)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非営利組織会計 / 社会福祉法人 / 医療法人 / 内部留保 / 医療福祉制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、介護サービス提供事業者の経営状態について事業体外部者が判断できるような会計情報の在り方を、日本・アメリカ・オーストラリアの3国の比較を行いながら「情報内容」と「情報公開手法」という両面から研究するものであり、「安心できる高齢社会のインフラ」という新たな会計の役割を構築しようとするものである。 このための研究計画として交付申請書において、平成28年度に実施を予定していた項目は、情報内容の側面としては主に理論的基礎としての①「アカウンタビリティー研究」、②「介護保険制度比較」、実務面としての③「データベース分析」、④「ヒアリング」を、情報公開手法の側面としては主に⑤「開示の実情」である。 上記のうち、①と②については日米の文献研究を行ない、③については、設立主体が自治体や独立行政法人、公益法人によるものについては情報収集・分析を行った。社会福祉法人については厚生労働省の社会福祉法人財務情報開示システムの試行版による情報収集を行なったが、平成29年4月より同システムが本格稼働するため、収集情報の充実に今後一層努める。④については、平成28年11月に大阪、京都、高浜などで実情調査や情報収集を行うなどして入手したデータの分析のための実証的な裏付けを得ることができた。⑤については日本・アメリカ・オーストラリアの3国における開示の枠組みについて文献の収集を行うとともに、インターネット上での開示の仕組みについて実情を確認し検証した。 以上のように当初予定していた項目についてはおおむね順調に研究を進めている。具体的には後述するように、研究成果の一部についてすでに学会発表を行い、また学術誌における論文掲載を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究計画として交付申請書において、平成28年度に実施を予定していた項目は、情報内容の側面としては主に理論的基礎としての①「アカウンタビリティー研究」、②「介護保険制度比較」、実務面としての③「データベース分析」、④「ヒアリング」を、情報公開手法の側面としては主に⑤「開示の実情」である。 上記のうち、①と②については日米の文献研究を行ない、③については、設立主体が自治体や独立行政法人、公益法人によるものについては情報収集・分析を行った。社会福祉法人については厚生労働省の社会福祉法人財務情報開示システムの試行版による情報収集を行なったが、平成28年4月より同システムが本格稼働するため、収集情報の充実に今後一層努めることとした。④については、平成28年11月に大阪、京都、高浜などで実情調査や情報収集を行うことにより入手したデータの分析のための裏付けを得た。⑤については、日本・アメリカ・オーストラリアの3国における開示の枠組みについて文献の収集を行うとともに、インターネット上での開示の仕組みについて確認するなど実情を検証した。 また、後述のように研究成果の一部についてはすでに2回の学会発表を行うとともに、1回の学術誌における掲載を行った。 なお、来年度実施を予定しているアンケート調査の準備については、改正社会福祉法の施行日との関係で調査項目についての検討を引き続き行うこととした。また、平成29年度に予定しているオーストラリアにおける医療介護の実情調査については、平成29年2月にオーストラリアを訪問する機会があったため、情報収集の一部について予定を前倒しして行なうことが出来た。 以上のように、本課題研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においては、オーストラリアにおける実情調査と我が国におけるアンケート調査の実施に力点を置いて取り組む予定である。具体的研究方法として、まず「ヒアリング」については、日本国内の実務者(医療・介護施設の担当者、自治体の担当者、公認会計士など会計専門家)を訪問するとともに、オーストラリアでの研究協力者Dr.Omuraとの意見交換・資料入手、高齢者福祉サービス事業者の情報提供組織の訪問などを行う。オーストラリア訪問時には文献入手も併せて行う。また理論面の研究としては「概念フレームワーク」に関して重点的に研究を行なうとともに、「開示の法的側面」について日本・アメリカ・オーストラリアの3国間比較研究を行う予定である。これらは主に文献研究によって推進する。 また、平成29年度の研究の柱である「アンケート調査」を確実に実施する。アンケートは介護サービス提供事業者に対し郵送・電子媒体により行う。内容は純資産の部の構成要素、日本公認会計士協会による概念フレームワークとコンバージェンスさせた場合の課題、財務情報公開への所感や課題、また、平成29年度から新たに導入された「社会福祉充実計画」「社会福祉充実残額」についても含めるよう予定している。回収後は、分析に着手するとともに特徴的な回答が得られた組織に対してはヒアリングにより追加情報の入手に努める。分析に当たっては、類似する先行研究の分析結果も参照し、総合的な視点から新たな知見を得るよう努める。 また、来年度はアメリカにおける調査を重点的に行う予定であるため、同国の医療・介護に関する資料収集などを前倒しして行い準備作業に努める。 上記の研究成果については平成28年度と同様、積極的に学会発表・研究会報告を行うとともに学術誌に論文を発表する。
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Research Products
(3 results)