2017 Fiscal Year Research-status Report
介護サービス提供事業者横断的な会計情報・情報公開制度構築―日米豪比較の視点から-
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16K04011
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
石津 寿惠 明治大学, 経営学部, 専任教授 (70337004)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会福祉法人 / 非営利組織会計 / 情報開示 / 医療福祉 / 介護サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、介護サービス提供事業者の経営状態を、事業体外部者が判断できるような会計情報の在り方(内容、公開方法)について、日米豪の比較を行いながら検討するものである。研究2年度目にあたる平成29年度においては、当初予定通り、アンケート調査と豪州の実情調査に力点を置いて研究を行った。 アンケート調査は、経営状況と情報開示に関して社会福祉法人(892法人)に対して、郵送によりおこなった。回収数は225通であった。内容については現在分析中である。豪州の実情調査についてはメルボルンでは市役所及び施設介護提供NPOを、ブリスベンでは施設介護提供NPO及びホスピスを訪問し、サービス内容、経営状況、情報開示について意見交換を行うとともに情報収集を行った。また、サザンクイーンズランド大学を訪れ、研究協力者との意見交換を行った。日本の介護保険はオーストラリアのシステムを参考に作られたものであるが、度重なる政権交代とともに介護システムも施設の経営状況(収入源)も大きく変化しているため、文献からは現状を把握することが困難であったが、実地訪問によってその実態を知ることが出来、本研究にとって有益であった。 また、それまでの研究成果の一部は日本会計研究学会第76回全国大会(広島大学)の統一論題において「医療福祉事業における財務会計情報の開示」と題して報告を行い、その後『會計』第193巻第2号に「医療福祉事業における財務会計情報の開示-共通的枠組み活用の可能性-」として掲載された。 このほか、内外の文献調査、非営利法人研究学会や各種研究会での研究者・実務家との意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の「研究計画」として、アンケート調査と豪州の実情調査に力点を置くことを予定した。以下のように、当初の予定通り研究を進めることが出来た。 アンケート調査については、当初社会福祉法人800法人程度に調査票を送ることとしていたが、特別養護老人ホームを設置している東京、神奈川、埼玉の892法人に対象を広げて郵送した。内容は経営状況と情報開示についてである。回収数は郵送とインターネットを併せて225通であった。分析結果は来年度となるが、信頼できる分析結果を得るに足る回収数を得ることが出来た。豪州訪問は、介護施設2か所及び行政担当(市役所)1箇所を訪問して、介護サービス提供組織の現状、経営状況、情報開示、サービス提供システム等について意見交換し情報提供を受けることが出来た。また、サザンクイーンズランド大学の研究協力者との意見交換も行うことが出来、文献の少ないオーストラリアの現状と課題について有益な情報を得ることが出来た。 また、内外の文献調査、非営利法人研究学会や各種研究会での研究者・実務家との意見交換を行った。 さらに、日本会計研究学会第76回全国大会(広島大学)において統一論題という形で「医療福祉事業における財務会計情報の開示」と題して報告を行うことができた。そらに『會計』第193巻第2号に「医療福祉事業における財務会計情報の開示-共通的枠組み活用の可能性-」として掲載され、これまでの研究成果の一部を公表することが来た。 十分なアンケートの回収数、オーストラリアでの訪問先確保、学会での統一論題としての報告などを行うことが出来たため、本研究は、当初の計画以上に充実した内容をもって進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように本研究は順調に推移しているため、3年度目における2018年度においては当初の予定通り、アンケート調査分析・まとめ、米国の実情調査に力点を置いて推進する予定である。アンケート調査においては、財務諸表情報についてのみならず、2017年より導入された社会福祉充実計画についての分析も加え、現状ニーズによりマッチした分析を行う予定である。米国の実情調査においては、日本とは異なり民間の寄付金が果たす役割が大きいことに留意し、税制との関係も視野に入れた調査を行う。 このほか、文献調査及び研究者・実務家等との意見交換を行い、研究成果が実務的にも有用なものとなるよう努めるほか、学会を通じて社会福祉制度の専門家などとも交流し、学際的な研究を行う。 研究成果の発表については、アンケート調査の分析を含む研究論文を発表する。海外での報告については、英文チェックや報告までのセレクション等に期間を要することを勘案すると、本年度中には困難になることもあり得るが、少なくともサブミットまでは本年度中に行うよう努める。
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Causes of Carryover |
図書購入のために留保していた額であるが、その購入予定していた図書の出版が2018年4月に延期になったため。次年度に当該書籍を購入する予定である。
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Research Products
(4 results)