2018 Fiscal Year Annual Research Report
International Comparative Study for Information Usefulness of IFRS Application Firms
Project/Area Number |
16K04015
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
向 伊知郎 愛知学院大学, 経営学部, 教授 (20308761)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | IFRS / ソーシャル・キャピタル / 利益の質 / 国民性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国際会計基準審議会(IASB)の設定する国際財務報告基準(IFRS) を世界で画一的に強制適用することが、これまで以上に情報利用者の意思決定に有用な情報提供に資するのか否かについて検討することにあった。研究対象国は、IFRSの任意適用企業が増加する日本の他、IFRSの適用において10年以上の歴史を有するヨーロッパ連合(EU)諸国の中のイギリス、フランス及びドイツ、オセアニアにおけるオーストラリア、並びにIFRSの適用で最も注目を集めるアメリカの企業とした。最終年度には、利益の質に焦点を当てて、IFRS適用以前の国内の会計基準(Local GAAP)からIFRSへの変更によって、利益の質が高まり財務情報が比較可能になるか否か、アメリカの会計基準(US GAAP)の適用企業とIFRSの適用企業との間での利益の質にどのような相違があるかなどについて検討した。 検討の結果、以下のことが明らかになった。第1に、Local GAAPからIFRSへと変更することで、利益の質は全般的に高まる。第2に、利益の質の相違に焦点を当てて分析したところ、IFRSの適用企業の間での財務情報の比較可能性は高まるが、依然として利益の質に相違がある。第3に、IFRSの適用企業とUS GAAPの適用企業との間では、特に日本の企業ではIFRSの適用企業の方が利益の質は高い。第4に、IFRSの適用企業の間での利益の質の相違の原因は、企業の業種および国民性の相違から説明される。 以上から、グローバル・スタンダードであるIFRSという一組の会計基準を適用した場合、これまで以上に情報利用者の意思決定に有用な情報を提供する一方で、各国の企業には、それらの企業の特性並びに企業経営及び財務諸表を作成する担当者等の国民性の相違を原因として、完全な比較可能性は達成されないことが明らかになった。
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