2016 Fiscal Year Research-status Report
小規模企業の管理会計システムの設計と導入・定着メカニズムに関する研究
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16K04023
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
飛田 努 福岡大学, 商学部, 准教授 (60435154)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中小企業 / スタートアップ企業 / 管理会計 / マネジメント・コントロール / 経営管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は学会報告5回(共同報告含む),論文(刊行済み)2編・(掲載決定)2編を行った。また,日本簿記学会簿記実務研究部会(平成27年度-28年度)は最終報告を行ったが,本研究課題での調査内容と重複する部分もあった。研究は大きく分けて以下の2つに分けることができる。 まず,これまで行ってきた小規模企業(中小企業・スタートアップ企業を含む概念として使用)を対象とした管理会計研究の取りまとめに該当するものである。筆者自身が行ってきた研究と,海外・国内における先行研究を踏まえて,小規模企業において特徴的であり,分析・検討を必要とする内容について吟味したものである。Lopez and Hiebl(2014)(2015)などにあるように,中小企業やファミリー・ビジネスを対象とした先行研究の蓄積は十分ではないとともに,伝統的な管理会計研究が対象としてきた大企業における管理会計実践とは異なり,階層化されていない組織における管理会計がどのように利用されているのかについてはまだまだ研究課題が残されているということである。 次に,小規模企業における管理会計実務に関する実態調査に関するものである。醤油・味噌を製造する老舗メーカー,工作器具機械を製造するメーカー等の調査を繰り返し実施し,その成果を報告するものである。これについては,飛田(2017a)(2017b)や飛田・宗田(2016),宗田・飛田(2017)などの業績があり,さらに小規模企業における管理会計実践の調査が必要であると考える。 以上から,国内では緒についたばかりの小規模企業における管理会計実務の研究調査において,文献研究と実態調査に基づく研究調査を実施している。課題としては,理論の精緻化と調査から得られた知見を理論的にいかに整理するかであると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題1年目の本年は,過去の先行研究の調査を中心に実施することとし,海外ジャーナル等で掲載されている中小企業やファミリー・ビジネス,スタートアップ企業における管理会計研究の資料を概ね確認することにできた。これに従来から行っている実態調査を実施することができており,理論と実践の双方を理解することに務めた。2年目の課題はこの結果を踏まえて,理論の精緻化を図ることであり,今後の調査と研究が重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は上記で述べたように,理論の精緻化が課題である。3年目は理論が実践と整合性を取れているかどうか,場合によってはサーベイ調査もあわせて実施することで,小規模企業における管理会計実務の総合的な理解を図ることをねらいとし,2年目はその中継点ともなる時期である。よって,従来の理論,管理会計実務との整合性を図りながら,独自の理論化を図るような調査・研究が必要になると思われる。
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Causes of Carryover |
現在,申請者が分担研究者として研究課題に取り組んでいる基盤研究(C)「ファミリービジネスのコーポレート・ガバナンスに関する実証的・理論的研究」(課題番号:15K03633)にも取り組んでおり,本研究同様に小規模企業を対象とした調査を実施ている。そのため,調査・インタビュー先が重複することがあり,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度も調査研究のために遠隔地に訪問することが想定されるため,主として旅費として使用する予定である。
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Research Products
(9 results)