2018 Fiscal Year Annual Research Report
A research to ensure effectiveness of resident claim in municipal corporation
Project/Area Number |
16K04025
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
紺野 卓 日本大学, 商学部, 准教授 (50581443)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 住民監査請求 / 地方自治法 / 監査委員 / 内部統制 / 財務会計行為 / 地方公共団体 / パブリックセクター |
Outline of Annual Research Achievements |
国と地方の借金が先進国の中でも突出して高いとされる我が国の財政状態を鑑みるに、パブリックセクターにおける財政規律の適正は喫緊の課題である。本研究は、パブリックセクターの中でも、地方公共団体における財政の適正を確保する目的で、ステークホルダーである住民の視点を利用した財政規律の適正の確保を企図したものであり、特に住民監査請求の有効性を高める方策について研究を行った。 住民監査請求は地方公共団体に存する可能性のある違法・不当な財務会計行為について、住民1人からでも請求が可能であるという点で極めて便宜な制度であるにも関わらず、実際のところ住民からの請求趣旨の多くは、監査委員によって棄却、却下等されており、制度運用上、有効に機能しているとはいえない。筆者のこれまでの研究により、住民監査請求が有効に活用されるためには監査委員が誠実に義務を果たすことが重要であり、もしも同義務が果たされない場合には、法的責任が追及されるべきであるとともに、実務上も、同責任の追及は可能であることを明らかにした。 研究最終年度では、総務省より、地方公共団体における内部統制報告制度の概要が公表されたため、同内容を利用する形で研究を進めた。地方公共団体で導入されることになる内部統制評価報告書は、首長が地方公共団体の内部統制の適正を評価し、報告することになるが、同報告書は監査委員の審査が必要となっている。ここでの内部統制の適正には「財務の適正」が含まれることになる。同制度の導入により、内部統制の審査を通じた形で監査委員の責任はこれまでよりも重くなると考える。また内部統制評価報告書には財務の適正についての内容が含まれるため、同報告書を根拠とした住民監査請求の提起も可能と考える。本研究と合わせて制度改革が進行したため、当初予定したものよりも深化させた研究を行うことができたと考える。
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Research Products
(3 results)