2019 Fiscal Year Research-status Report
若年者の人口流出メカニズムの解明:社会関係資本の観点から
Project/Area Number |
16K04028
|
Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
堀内 史朗 阪南大学, 国際観光学部, 准教授 (90469312)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松坂 暢浩 山形大学, 学士課程基盤教育機構, 准教授 (10649726)
鎌田 剛 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50438595)
村松 真 山形大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50560588)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 地方創生事業 / 定住 / 移住 / フィールドワーク / 数理モデル / 統計分析 / 人口減少 / グローバリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は東京一極集中が進む今日において、若年者が地方に定住し、地方創生が進むためにはどんな条件が必要か、実地調査・統計分析・数理モデリングによって明らかにしようとした。 今年度は論文が4本掲載された。山形県飯豊町の若年労働者の意識調査によって定住意識の高い人の特徴を明らかにした(理論と方法 34(1): 145-152)。兵庫県淡路島に移住した人たちのインタビュー調査を分析し、年代・前住所によって移住目的が違うことを明らかにした(阪南論集・社会科学編55(2): 1-11)。異なる地域に点在する人が分業することで、かえって全体としての生産性が高まることを数理モデリングによって明らかにした(共著:Learning Behaviors among Neanderthals and Paleolithic Modern Humans: An Introduction, pp. 179-191)。大学教育の一環で行われる地域でのフィールドワークが、普段は都市に暮らしていても地域の価値を外国人を含む他者に伝える人間を育成しうる可能性を示した(Global Opportunities and Challenges for Rural and Mountain Tourism, pp. 1-18)。 また今年度、著者の単著(観光による課題解決、晃洋書房)を出版した。これまでに出版した論文をまとめると同時に、本研究の成果も一部盛り込んでおり、グローバル化と人口減少が進む中で地域への観光が地方創生に繋がる論理を示した。 また山形大学の学生たちのアンケートデータが完成した。現在、その結果を分析し、学会発表・学術論文として完成させる方向で検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な対象である山形大学学生のアンケートデータ(パネルデータ)が完成した。暫定的な統計分析で、地域定住にプラスに働く要因は明らかになっている。学会発表・学術論文として報告する用意が整っている。 ただ、今年度中に追加の大学生・卒業生へのインタビュー、学会発表を行うつもりだったが、新型コロナウイルス感染に伴う騒動のため、その計画が中止になってしまった。騒動が治ってから、改めて取り組みたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初は山形県の調査が中心だったが、申請者の異動もあって、大阪府・兵庫県の地方における若年者の調査・研究へと中心がシフトした。同じ地方といっても、東北地方と関西地方では若年者が置かれた状況が異なる。関西圏の場合、急増した国際観光客、特に中国・台湾・韓国との関係を無視しては地方創生事業を考えることができない。一方で新型コロナウイルスの影響で国際観光は激甚な損害を受けた。人口減少が加速化する可能性もある。このように、人口減少をグローバル化とセットで考えることが、それぞれの地域に合わせた地方創生事業において必要である。
|
Causes of Carryover |
2020年2-3月に追加の調査や打ち合わせ・研究発表を行う予定だったが、新型コロナウイルスの感染蔓延のため、それらの予定がキャンセルとなったため。事態がある程度の収束を見た後に引き続き調査・発表を行う。
|